北九州タから鉄道で発送する

カーゴニュース 2024年8月1日 第5264号

小倉運送
越境EC商品を鉄道で関東へ

宅配にラストマイル協組を利用

2024/08/01 13:57
通販・EC グローバル物流

 小倉運送(本社・北九州市小倉南区、増井淳社長)は7月25日、関門港(北九州港、下関港)から輸入された越境EC貨物を同社の保税蔵置場で一時保管し、鉄道を利用して関東へSea&Rail輸送する新スキームを構築したと発表した。首都圏での宅配には、ラストワンマイル協同組合の「LCC配送ソリューション」を使用する。釜山港から近い関門港を利用することでコスト抑制と安定したリードタイムを実現しながら、鉄道モーダルシフトでトラックドライバーの労務負担軽減と環境負荷低減に対応する。


 具体的には、関門港経由で輸入された越境EC貨物を、小倉運送が北九州市内に新設した保税蔵置場で保管。オーダーに応じて、小倉運送の手配により北九州貨物ターミナル駅から関東の貨物駅まで鉄道で輸送する。貨物は海上コンテナをデバンニングしてJRコンテナに積み替えることも、海上コンテナのまま輸送することも可能。関東に到着した貨物はラストワンマイル協同組合が引き取り、一都三県に向けて「大手キャリアに対して競争力を持つサービス水準と価格で」(同組合)届ける。

新設した保税蔵置場

 関門港は釜山港をはじめとする韓国や中国の輸出港から近く、京浜港などに比べて安価かつ短いリードタイムでスムーズに輸入できることが特長。保税蔵置場で預かれば、保管期間中の関税や消費税の負担がなく、キャッシュアウトも抑制できる。輸入通関手続きも円滑でスピーディに行われる上、首都圏の保税倉庫に比較して商品保管コストも安価で済むという。さらに、幹線輸送に鉄道を利用することで「2024年問題」の影響を抑え、安定した商品供給が可能になるとともに、CO2排出量も低減。トラック輸送で九州から関東へ出荷した場合は翌々々日配送になるケースもあるが、同サービスを活用すれば最短翌々日配送が可能となる。


 九州には有力なEC企業が多く存在する一方で、「2024年問題」の影響により、商品を保管・在庫する九州エリアから大消費地である首都圏への長距離輸送が課題となっており、EC企業からは「消費地に向けて安定的に商品を届け続けたい」との声が挙がっていた。加えて円安を受けて商品の仕入れ・輸入にかかるコスト負担も増しており、キャッシュアウトをできるだけ抑えたいとのニーズが強まっていたという。


 こうした課題を解消するため、小倉運送とラストワンマイル協同組合は双方の経営資源を活用することで、EC商品の輸入からデリバリーまでを「速く、安価に、確実に」行うスキームを設計。小倉運送の増井社長は、「現在、越境EC貨物は航空便のみの取扱いとなっているが、海上便の利用が可能となることで、ローコストかつ安定大量輸送が実現できる」とコメントしている。

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