カーゴニュース 2024年8月6日 5266号
国土交通省の鶴田浩久物流・自動車局長(写真)は7月29日、専門紙記者会見を開き、改正物流効率化法に基づき、すべての荷主や物流事業者に物流改善の努力義務を課すとしたうえで、国交省、経済産業省、農林水産省3省による合同会議の場で「国が定める物流改善の基本方針や、改善内容に関する判断基準などを協議しており、秋頃に取りまとめ案を提示する」と表明した。とりまとめ案はパブリックコメントを経て、正式決定する運び。
トラックの荷待ち・荷役作業時間の削減や、適正な取引環境を実現するための契約の書面化、トラックの労働生産性向上など、物流改善方針と進捗度を図る判断基準を具体的に示すことで、荷主・事業者の物流改善を加速させたい考えだ。また、鶴田局長は規制的措置の施行に向けて留意すべき点として「実効性を確保するための制度設計を行うとともに、物流に関わる様々な関係者間の連携・協力を促進することが重要だ」と強調。加えて「物流効率化に向けたデジタル技術の活用のあり方や、物流改善の取り組み状況の調査・評価の在り方についても、関係者の意見を聞きながら、まとめ上げていく」と方向性を示した。
ポイント還元を10月開始、大手EC・宅配が参加
政府は7月25日、第5回「我が国の物流革新に関する関係閣僚会議」を開き、宅配便の再配達率削減に向けたポイント還元実証事業を10月から実施することを発表した。これについて鶴田局長は「宅配の再配達率を現在の12%から6%に半減することが目的だ。10月以降、EC事業者や大手宅配事業者が順次取り組みを開始する。国は1配送当たり最大5円を支援する」と説明。利用者が置き配やコンビニ受け取りなど柔軟な受け取り方を選択した場合や、ゆとりのある配送日時を指定した場合にはポイント還元を行う仕組みとする。
ポイント還元実証に参加を表明している大手EC事業者のうち、アマゾンは置き配など多様な受け取りを活用し再配達が生じなかった場合にポイント還元する。楽天は日付指定により1回で受け取った利用者に対し、LINEヤフーは配達指定日に余裕のある日付を選択した利用者に、それぞれポイントを付与する予定。宅配大手のヤマト運輸、佐川急便、日本郵便も実証事業に参加する。
鶴田局長はポイント還元実証事業の終了後も「各社には永続的にポイント還元を実施していただきたい」と述べ、「EC事業者や物流事業者がポイント還元サービスを継続することで、宅配便利用者が物流への負荷の低い選択をするよう促すことができる」と期待感を示した。
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