カーゴニュース 2025年8月12日 第5363号
“Stylish Logisticsの創造”をビジョンに掲げ、企業の物流DXを支援するダイアログ(本社・東京都品川区、方志嘉孝代表取締役CEO)。「ロジスティクス」×「IT」をベースとして、「物流ソリューションサービス」、「物流業務支援サービス」の2つの事業により、システム、業務の双方から支援を行い、近年、受注が順調に拡大している。方志代表取締役CEOに今後の戦略や展望を聞いた。
(インタビュアー/小嶺俊輔)
企業間を超えたムリ・ムダのない業界に
――これまでのキャリアや、会社を立ち上げた経緯について教えてください。
方志 もともとはIBM社でITコンサルタントとして、業務改革やWebサービスの展開を得意としてきました。その後、独立して起業した際に、倉庫内の業務改革やシステム導入をサポートしたことをきっかけに物流業界と縁が生まれ、その業界特性として、扱うデータ量が多い反面、利益率が低いためにシステム投資に費用をかけられない企業が多いことを知りました。また、物流企業は多様な荷主の案件に対し、それぞれ個別のシステムで対応している実態を目にしました。これまで培ってきたWeb技術を用いて業務をより効率化し、案件や企業を超えてリソースのムリ・ムダのない業界にしていきたい――そうした思いで、2013年にダイアログを創業するに至りました。
――設立当時に比べ、現在は人手不足の深刻化が進み、物流企業のIT化・DXへの取り組み意欲はずいぶん高まっているのではないでしょうか。
方志 大手企業はDXへの意識が高まっていますが、中小企業はあまり変わっていないように感じています。私が物流業界に携わり始めた1990年代から、案件ごとにExcelなどを活用したシステム運用を行っていましたが、いまだにその運用を継続している企業が少なくありません。既に業務要件がブラックボックス化している場合も多く見られます。
そこで、システム部門を強化するか、アウトソーシングする必要がありますが、ただでさえIT人材は争奪戦になっているのに、あえて物流企業のシステム部への入社を希望する若手はそうはいません。一方で、とくに中小の物流会社はIT投資に巨額の費用をかけられるほど体力がないというのが現状です。そのため、中小物流会社でも導入しやすいように、リーズナブルにサービスを提供したいという意識を持って事業を展開しています。
複数案件、複数拠点への対応で高評価
――御社のサービスの柱は「物流ソリューションサービス」と「物流業務支援サービス」ということです。その概要とともに、現在の顧客数やターゲットとしている業種について教えてください。
方志 「物流ソリューションサービス」は、物流業務改善コンサルティングやDX企画開発、WMS(倉庫管理システム)「W3」を中心としたDX対応まで幅広くメニューをそろえています。「物流業務支援サービス」では、ハンディターミナル・ラベル紙等の物流機器・資材調達から、倉庫物流アウトソースまでを総合的に支援しています。現在約630社で当社の各種サービスが稼働中です。過去2年間では平均150%ずつ伸長しており、今後も拡大を見込んでいます。業種としては、主に食品やアパレル雑貨を取り扱う企業との取引が多く、意外に多いのは家具・家電業界でしょうか。最近は製造業との取引も広がっています。
――主力サービスのひとつであるWMSの特徴について詳しく教えてください。
方志 小~中規模企業向けSaaS型WMS「W3 mimosa」と、大規模企業向けクラウド型WMS「W3 sirius」を中心に事業を展開しています。特に評価されているのはUI(ユーザーインターフェース)面です。Webシステムではあるものの、Excelなどに近い操作感となっており、ローコード・ノーコードで操作できるため現場側での手軽な設定変更が可能です。
また、標準の物流業務を設定すると、それをコピーして別の案件に使用できることも強みのひとつです。複数案件を抱える企業や拠点展開を進める企業から高い評価を得ています。教育コストの削減にも貢献し、約40%の削減を実現した例もあります。
外部との接続性にも力を入れており、主要なOMS(販売管理システム)や、近年倉庫での導入が進むロボット機器などとの連携にも対応しています。商品マスタや入出荷の登録・更新、在庫検索や変更履歴などのAPIを公表しているため、お客様のアプリケーションと連携して活用していただくことも可能です。
来年度から大手荷主企業に物流統括管理者(CLO)の選任が義務化されますが、CLOの役割であるサプライチェーン全体の効率化に対しても貢献できるのがWMSです。各拠点の在庫情報を可視化することで、現場からのリアルな在庫情報を吸い上げることができます。多言語対応も行っているため、海外拠点を有している企業でも問題なく使用できます。
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