日通が導入した近距離モビリティ

カーゴニュース 2024年9月12日 第5274号

ズームアップ
物流現場で広がる障がい者雇用

人材確保へ補助機器も登場

2024/09/12 07:00
環境・CSR

 物流現場で障がい者雇用が広がりそうだ。障がい者の雇用促進は社会貢献だけでなく、物流業界の人手不足の解消にもつながる。障がい者が活躍しやすい環境づくりの一環として、物流現場において作業を補助する機器の開発も進む。人手を多く必要とする大型物流施設で障がい者の就労を支援する取り組みも出てきた。


近距離モビリティ導入で歩行困難者も働ける職場へ


 日本通運は8月29日、先進的なロジスティクスロボットや作業補助機器の導入と職場環境の整備を通じて、これまで倉庫で働くことが困難だった人の障壁を取り除くことを目指す「誰にもやさしい倉庫(NX Universal H a r m o n i o u s  W o r k  W a r e -house)」プロジェクトを開始したと発表した。


 プロジェクトの第1段階として、埼玉支店加須倉庫でWHILL社が開発・展開する免許不要の近距離モビリティを導入。次世代型モビリティとAGV(自動誘導車)、AMR(自律移動ロボット)などの無人搬送機を連携させることで、歩行困難者もピッキング作業などの倉庫内作業を可能とした。


倉庫で作業用車椅子ロボット実験に協力

 

 サンリツでは、アクセスエンジニアリングがこのほど発売した事務・作業用車椅子ロボット「MovBot Office」の倉庫作業実験へ協力。その目的について「労働人口の減少、『2024年問題』など物流業界では現在人手不足が深刻化している中、障害を持つ人が物流業界の新たな担い手となるよう、より安全で、より快適に作業ができる製品へと近づけるため」としている。


 同ロボットは、前後・真横・斜めへの移動と、その場での360度回転が可能。混雑したエリアでもスムーズに移動できる。座面の高さを手元で調整することで、身長約180㎝の人の目線まで上昇し、倉庫の上部から商品をピックアップできるようになる。衝突回避機能を標準搭載し、倉庫棚情報とDXで連携させることも可能だ。

サンリツは車椅子ロボットの実験に協力

物流不動産や人材会社も就労をサポート


 物流現場での雇用確保の課題に対し、物流不動産会社も障がい者雇用促進のサポートに乗り出した。日本GLPと物流倉庫への派遣・業務請負を中心とした人材企業のテイケイワークス東京、就労継続支援B型事業所を運営するリハスは共同で、マルチテナント型施設「GLP ALFALINK流山2」に就労支援施設を開設する。


 リハスが施設運営に携わり、障がい者が通所してラベル貼りや箱作り、簡単な組み立てなどの施設内作業を入居テナント各社から請け負う。テイケイワークス東京が入居する「GLP ALFALINK流山6」の倉庫スペースでは、ピッキングなどの施設外作業を行う予定。関心を持った企業はテイケイワークス東京およびリハスに紹介依頼することも可能となっている。


 人材会社も物流現場での障がい者雇用支援を強化している。キャムコムグループの綜合キャリアトラストは、製造・物流業向けの障害者雇用支援サービス「ソーシャルワークス」を提供。4月にはサービスサイトをリリースした。企業で障害者が行う業務の切り出しや、企業と当事者間のミスマッチ防止、職場での適切な配慮ができる担当者育成など障害者人材の育成をサポートする。

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