カーゴニュース 2025年7月8日 第5353号
森永乳業(本社・東京都港区、大貫陽一社長)、日本通運(本社・東京都千代田区、竹添進二郎社長)、JR貨物(本社・東京都港区、犬飼新社長)、日本石油輸送(JOT、本社・東京都品川区、原昌一郎社長)の4社は、コンソーシアム「流動食モーダルシフト推進協議会」を結成し、盛岡・仙台~神戸間で31ftスーパーURコンテナを活用した鉄道によるラウンド輸送を1日から開始した。往路、復路ともに同一荷主による31ftスーパーURコンテナを活用したラウンド輸送は日本初の取り組みとなる。
東北発着の広域輸送での「運べないリスク」を解消
2024年4月からスタートしたトラックドライバーの時間外労働の上限規制を受け、森永乳業ではとくに東北地区発着の広域輸送ルートにおいてドライバー不足が顕著となっており、「運べないリスク」が高まっていた。一方で、現行の鉄道コンテナを活用したラウンド輸送では、往復での荷物確保が難しく、往路と復路で異なる荷主を探すことに労力を費やしていた。
今回、こうした課題を解決するため、4社でコンソーシアムを結成し、JOTが森永乳業専用の31ftスーパーURコンテナを提供。同コンテナを用いて、盛岡・仙台~神戸間のうち、百済・大阪貨物ターミナル駅~仙台貨物ターミナル駅の固定ルートで往復利用することで課題を解決した。環境面でもCO2排出量を従来比で約72%削減、年間排出量約184tの抑制を見込んでいる。
なお、スーパーURコンテナは、真空断熱パネルを採用し、冷蔵コンテナよりも高い断熱性能を備えているため、厳密な温度維持が必要な製品などを運ぶのに適している。
「線から円」で往復での高い積載率を実現
具体的なスキームでは、森永乳業の盛岡工場および神戸工場で生産している流動食や栄養補助飲料の運送を日通が受託。JOTの31ftスーパーURコンテナを使用して、JR貨物の鉄道輸送を利用した往復輸送を実施する。仙台と盛岡という異なるエリアを結ぶため、日通とJR貨物が連携し、従来は空のまま回送されていたコンテナを効率的に移動させることで、「線」であった輸送ルートを「円(ラウンド)」としてつなぐことを実現した。これにより、往路・復路ともに高い積載率を実現し、安定的かつ効率的なラウンド輸送が可能になった。
なお、この取り組みは、流通業務の効率化を図る事業として国土交通省の「物流総合効率化法」に基づく総合効率化計画に認定され、31ftコンテナなど大型コンテナの利用拡大を目的とした「モーダルシフト加速化緊急対策事業」に採択されている。
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