カーゴニュース 2024年12月26日 第5304号
帝国データバンクでは、「2024年問題」開始以降のトラック輸送業界について、景況感をはじめとした各種データや取り巻く環境の変化を分析した。その結果、燃料費の高止まりや人手不足の影響が直撃している一方、2024年4~8月期の輸送量は前年同期と同水準を維持していることがわかった。
帝国データが景気動向調査で毎月算出している景況感をはじめとする各種DIをみると、24年11月時点のトラック輸送事業者の景況感を示す景気DIは44・1と全産業の景気DI(44・4)を0・3pt下回り、「良い」「悪い」の判断の境目となる50を5pt以上、下回る水準だった。
仕入れ価格の状況を把握する仕入単価DIは69・5、正社員の人手不足状況を表す雇用過不足DIは66・5と高い水準を示しており、燃料価格の高騰やドライバーなどの人手不足の影響が経営を直撃している様子がうかがえた。一方で、時間外労働時間DIは47・7と前年同月から減少した。
厚生労働省による24年における月間の所定外労働時間をみると、平均27・3時間/月(24年1~9月)だった。23年(平均28・7時間/月)と比較すると1時間以上減少しており、直近10年間で最も低い水準となり、法令順守の動きがみられた。
輸送量の動向をみると、貨物営業用自動車の輸送量は、24年4~8月で計10・5億t。前年同期(計10・3億t)と比較すると2・0%増加しており、過去5年間で高い水準を維持していた。また、大手3社の宅配貨物の取扱個数においても同様の傾向が表れ、24年4~8月は計19・2億個で前年同期比1・3%増だった。
帝国データバンクでは、「24年4月以降、極端な輸送能力の低下には至らず、事前に危惧されていたような輸送力不足に陥ることなく、例年並みの輸送量を維持していることは、トラック運送事業者ならびに荷主企業の努力の結果と言える」としたうえで、「依然として燃料費の高止まりや深刻な人手不足など業界を取り巻く環境は厳しい。業況改善に向けては、さらなる輸送の効率化や自動化などを推進し、安定的な物流機能の確保に取り組む必要がある」としている。
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