カーゴニュース 2025年8月5日 第5361号
国土交通省と北海道庁は7月25日、北海道新幹線札幌延伸に伴いJR北海道から経営分離される函館線函館―長万部間(海線)の貨物路線に関する有識者検討会議の第6回会合を札幌市内で開き、札幌延伸後も「貨物鉄道機能を維持する必要がある」との結論で一致した。近く中間とりまとめとして正式に公表する。今後は、最終報告に向けて検討すべき課題の解決方策を探る議論を続けていくが、新幹線の札幌延伸が当初予定されていた2030年度から8年程度遅れる見通しのため、最終報告を出す時期も26年3月の予定からずれ込む公算が高まっている。
有識者会議はこれまで計6回に及ぶ会合で、JR貨物や物流事業者、荷主企業などへのヒアリングを行うとともに、貨物鉄道機能を維持する場合における利点や課題、船舶等への全量代替の可能性などを検討してきた。その結果、中間とりまとめにおいて貨物鉄道機能を維持する方向性で一致した。しかし、JR北海道から経営分離された後の線路など鉄道施設の保有主体のあり方、毎年度十数億円規模と想定される維持管理費用の負担のあり方、保線要員の確保・育成方策――といった課題があり、今後は最終報告に向けてこうした課題の解決に向けた議論を進めていく。
ただ、北海道新幹線札幌延伸の開業時期は、トンネル工事が難航していることから、当初の30年度末から少なくとも38年度末まで延期される見通しとなっている。このため、関係者からは「経営分離までの間の事業環境の変化などを踏まえると、結論を急ぐ必要はない」との声もある。また、札幌延伸後の地域公共交通の維持方策を検討する北海道新幹線並行在来線対策協議会・渡島ブロック会議も、旅客鉄道かバス路線かの選択が終わっていないため、有識者会議の最終報告は渡島ブロック会議での結論が出た上で取りまとめる方向となりつつある。
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