カーゴニュース 2025年2月4日 第5313号
国土交通省は1月30日、プラスチック容器メーカーの吉野工業所と大手物流子会社のNX・NPロジスティクスの2社に対し、法令に基づき勧告と社名の公表を行った。両社は2023年にトラックの長時間待機を解消するよう国交省から改善要請を受けていたが改善が不十分だった。そこで国交省は、法令に基づき改善要請よりも重い処分となる勧告・公表に踏み切った。2社の違反原因行為は「長時間の荷待ち」で、処分内容を国交省HPで公表した。
吉野工業所には23年11月30日、NX・NPロジスティクスは同年12月5日に、いずれも長時間の荷待ちを是正するよう要請。約1年が経過したが対応が不十分で、改善の成果がみられなかったとして勧告と社名公表に至った。
今後2社は謝罪文を発表するとともに、国交省に対し改善計画書を提出する運びとなる。国交省は「是正指導や要請・勧告の対象となった荷主などについては今後もフォローアップを継続し、改善が図られない場合、さらなる法的措置の実施も含め厳正に対処する」とコメントを発表した。
昨年11・12月に432件の是正指導を実施
国交省は23年から11・12月をトラック・物流Gメンによる集中監視月間と位置づけ、適正取引を阻害するおそれのある悪質な荷主・元請事業者に対する監視を強化し、是正指導を実施している。昨年11・12月の2ヵ月で「働きかけ」を423件(荷主304、元請104、その他15)、「要請」を7件(荷主4、元請2、その他1)、勧告2件(荷主1、その他1)を実施した。
昨年11月に監視体制強化の一環として各都道府県のトラック協会が新設した「Gメン調査員」はこの2ヵ月間で115件の違反原因行為に関する情報提供を行った。
倉庫業界からの情報収集も行い、トラック・物流Gメンが倉庫事業者へのヒアリングを実施したほか、地方運輸局でも倉庫事業者や地区倉庫協会からの情報収集を行った。
23年7月にトラックGメン制度が創設されて以降の是正指導・要請の実績は「働きかけ」が1378件(荷主942、元請399、その他37)、「要請」183件(荷主94、元請83、その他6)、「勧告」4件(荷主2,元請1、その他1)となった。主な違反原因行為の内訳をみると、「長時間の荷待ち」が48%、「契約にない附帯業務」が20%、「運賃・料金の不当な据え置き」が16%、「無理な運送依頼」が7%、「過積載運送の指示・容認」が5%、「異常気象時の運送依頼」が4%だった。
とくに「長時間の荷待ち」是正は、物流改正法が重点項目に定めた取り組みで、同法による荷主と事業者に関する判断基準となっている。これを踏まえ、国交省は今後も長時間の荷待ちの解消に向け、是正指導に注力する方針だ。
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