カーゴニュース 2025年2月6日 第5314号
国土交通省は1月31日、昨年5月に公布された「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律」(改正物流法)のうち改正貨物自動車運送事業法を4月1日から施行するのに伴い、省令の一部を改正し公布した。
改正法は、元請事業者に対し、実運送事業者の名称などを記載した「実運送体制管理簿」の作成を義務付けるとともに、荷主・トラック事業者・利用運送事業者らに対し、運送契約の締結時に、提供する役務の内容や附帯業務料・燃料サーチャージを含んだ対価について記載した書面交付を義務付けた。
また、トラック運送事業者と利用運送事業者に対し、運送業務を下請に出す行為の適正化を図る努力義務を課すとともに、一定規模以上のトラック運送事業者に対し、適正化に関する管理規程の作成と他の事業者の運送の利用(=下請けに出す行為)の適正化について努力義務を課すとともに、一定規模以上の事業者に対し、当該適正化に関する「運送利用管理規程」の作成と「運送利用管理者」の選任を義務付けた。
運送契約の書面交付を義務化
「実運送体制管理簿」は、元請が真荷主から引き受けた1・5t以上の貨物について、下請事業者に輸送を委託した場合に作成するもの。元請は①実運送事業者の商号・名称②実運送事業者が実運送を行う貨物の内容・区間③実運送事業者の請負階層――を記載した実運送体制管理簿を作成する。
荷主が運送事業者に運送委託を行う際には、内容を書面化し、相互に交付することが義務化された。運送契約には、①運送の役務の内容・対価②運送契約に運送の役務以外の役務(荷役作業、附帯業務等)が含まれる場合は、その内容・対価③高速道路料金や燃料サーチャージなど特別に生じる費用に係る料金④運送契約の当事者の氏名または名称および住所⑤運賃・料金の支払方法⑥書面の交付年月日――など法定事項を記載することが義務化された。書面交付を締結せずに運送を行った事業者は義務違反となり、行政処分の対象となる。
下請は2次までとすることを努力義務に
トラック事業者が元請となって下請を利用する場合や、利用運送事業者がトラック事業者を利用する場合には、元請と利用運送事業者には「健全化措置」を図るよう努力義務が課せられた。具体的には、①適正な費用の概算額を把握して利用を申し込む②荷主から運送を引き受ける際、適正な運賃・料金よりも低額の場合、交渉したい旨を申し出る③下請の段階が2次までになるように制限――などを実施する。なお、下請が2次までになるように制限するのは努力義務とした。
「運送利用管理規程」を作成しなければ罰則も
「健全化措置」の実効性を高めるため、前年度に行ったトラック利用運送に係る貨物取扱量の合計が100万t以上となるトラック運送事業者に「運送利用管理規程」の作成と「運送利用管理者」の選任が法令で義務付けられた。作成・選任を行わない事業者には罰則を適用する場合がある。運送利用管理規程は後日国交省がひな形を作成することとしている。また、運送利用管理者は「事業運営上の重要な決定に参画する管理的地位にある者」とし、具体的には大手運送事業者の役員クラスが対象となる。国交省は対象となる大手元請事業者は全国で150社程度と想定している。
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