カーゴニュース 2025年2月18日 第5316号

「実運送体制管理簿」で〝見えない事業者〟も?
下位に“丸投げ”した事業者は不記載

2025/02/18 07:00
行政 トラック輸送

 「実運送体制管理簿」は運送の実態を「見える化」することが目的のひとつだ。荷主の物流担当者は同管理簿を確認し、輸送実態などを正確に把握することで、運賃・料金を含めた取引環境の適正化に取り組む判断材料とし、荷主の努力義務である取引環境の適正化に役立てることができる。

 

 ただ、同管理簿にも若干の問題点がある。管理簿ではあくまでも「実運送を行ったトラック事業者」に関する情報のみを記載するよう定められているため、多層構造の中間に位置しながら、より下層の事業者に貨物を〝丸投げ〟した事業者は上部の事業者に詳細を報告する義務がなく、同管理簿には存在が記載されない。

 

 具体的には、最終的な実運送事業者の請負次数が「3次下請け」の場合、実運送体制管理簿に「1次下請け」と「3次下請け」の社名しか記載されないケースも生じる。注意深く「次数」や運送区間に着目すれば「1次下請け」と「3次下請け」の間に「2次下請け」が存在していることを発見できるが、〝見えない〟事業者の名称は問い合わせない限り不明のままだ。

 

 つまり、多重下請構造の是正を促すため、荷主が同管理簿を閲覧しても「元請け」「1次下請け」「3次下請け」の3社しか確認できないことになる。実運送事業者の収受運賃が、荷主が想定しているよりも低い場合、荷主の物流担当者は〝見えない〟事業者が介在している可能性も考慮する必要がありそうだ。

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