カーゴニュース 2024年6月6日 第5248号
陸上貨物運送事業労働災害防止協会(陸災防)は5月31日、2024年度通常総代会を都内で開催し、24年度事業計画・収支予算を決定した。陸上貨物運送事業労働災害防止計画(2023~27年度)の目標達成に向けた24年度目標は、死亡者数は過去最少の86人以下、死傷者数は1万6248人以下(うち墜落・転落災害4192人以下)と定めた。
役員改選では渡邉健二会長が退任し、後任の新会長に齋藤充・NIPPON EXPRESSホールディングス会長が就任した。渡邉会長は顧問に就任した。
開会挨拶に立った渡邉会長は陸運業の労働災害の現状について、23年度の死傷者数は1万6215人(前年比365人減)となり、近年の増加傾向から若干の減少がみられた一方、死亡者数は110人(前年比20人増)となり「17年以来の高い水準であり、厳しい結果となった」と報告。この状況を踏まえ、「陸運業では荷役災害防止を中心に積極的な安全対策が求められている。当協会を取り巻く環境は『2024年問題』への対応や人手不足、燃油費の高騰など厳しさが続くと見込まれる。厳しい情勢ではあるものの、事業者には安全で健康な職場環境を整備するための努力をお願いしたい」と訴えた。また、会長退任にあたって「18 年に就任して6年間を振り返ると、非常に残念なことに毎年100人前後の方が労働災害で亡くなり、1万6000人前後の方が死傷災害にあっており、会長としての力不足を感じている。こうした異常事態を脱しなければ、陸運業界に新しい人が入ってこないのではないかという懸念を抱いている。全国の事業者に努力していただき、労働災害が限りなくゼロに近くなるよう期待している」と述べた。
新会長に就任した齋藤氏は「厳しくも変化の速い経営環境のなか、事業者の皆様が日々労災防止に取り組んでいることに敬意を表する。労働災害の防止に向けて積極的に取り組んでいくことは陸運業に課せられた社会的責務であり、労災の徹底的な防止が陸災防のなすべき使命だと確信している。陸災防がより効果的な取り組みができるよう前に進めていくことが私の任務だと認識している。誠心誠意、全力を尽くしていく」と意欲を語った。
来賓として厚生労働省労働基準局安全衛生部計画課長の松下和生氏が安全衛生部長の代理として祝辞を述べ「改正労働安全衛生規則に基づき、荷役作業時の安全対策の徹底を図るとともに、荷役の安全ガイドラインにより荷主への指導を徹底する」とした。
総代会終了後の懇親会では陸災防副会長・理事を務める全日本トラック協会の坂本克己会長が乾杯の音頭を取り、懇談に移った。
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