カーゴニュース 2024年6月13日 第5250号
M&A仲介業のストライク(本社・東京都千代田区、荒井邦彦社長)によると、2024年5月のM&A件数(適時開示ベース)は108件と前年同月を29件上回り、5月単月では過去10年で最多となった。取引金額は1000億円超の案件が複数出たことで7156億円(公表分を集計)まで伸長。金額トップ10のうち、物流会社のM&Aが3件ランクインしたのが特徴で、ドライバーの残業規制が適用され、物流がタイトになる「2024年問題」を背景にした案件が続いた。
金額2位は、佐川急便を傘下に持つSGホールディングスが、低温物流のC&FロジホールディングスをTOBで子会社化を目指す案件で1237億円。C&Fをめぐっては、同業のAZ‐COM丸和ホールディングスが3月に同意なきTOBを発表。
AZ‐COMの買収提案を検討する過程で、C&Fは4月にAZ‐COMとは別に複数の買い手候補がいることを公表していた。買い手候補で有望な提案を行ったのがSGHDで、同社は5月31日に正式に対抗TOBを発表。買付価格もAZ‐COM丸和が提示する1株3000円を大きく上回る5740円で、C&FもSGHDのTOBに賛同し、株主へ応募推奨をしている。
金額3位は、ロジスティード(旧日立物流)がアルプス物流をTOBで子会社化するもので約1051億円。アルプス物流を持ち分法適用会社とするアルプスアルパインが経営指標や業績の改善に向け、一部持ち株の放出を模索。入札形式で買い手候補が選別される中で、ロジスティードが選ばれ、TOBを実施することになった。
また、エスライングループ本社がMBO(経営陣による買収)で株式を非公開化する案件が9位にランクインし、取引金額は約140億円。「2024年問題」を背景としたトラックドライバーの不足を理由のひとつに挙げ、短期的な収益や株価にとらわれることなく抜本的な改革が必要であると判断したもの。同社の山口嘉彦社長の資産管理会社がTOBを行い、株式非公開化を目指す。
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