現中計での荷物事業の収益目標

カーゴニュース 2025年7月31日 第5360号

話題/日本郵便
荷物事業の成長戦略に〝黄信号〟

不適切点呼で、国内物流のM&Aに活路か

2025/07/31 07:00
全文公開記事 経営計画・戦略 M&A 宅配・ラストワンマイル

 

 不適切点呼問題に揺れる日本郵便(本社・東京都千代田区、小池信也社長)の成長戦略に黄信号が点っている。郵便物の減少に歯止めがかからない中で、ゆうパックなど荷物分野における収益拡大を成長の中核に据えていただけに、今回の事態を受けて戦略の練り直しが避けられない。今後は、今年4月に子会社化したトナミホールディングスなど、M&Aを駆使した拡大戦略への比重が高まることになりそうだ。

 

ヤマトとの〝破談〟もあり、中計目標は未達へ

 

 今期(2025年度)が最終年度となる日本郵政グループの中期経営計画では、郵便・物流セグメントの成長戦略の柱として物流分野での収益拡大を掲げている。具体的には、ゆうパックの収入を23年度の3394億円から25年度に4000億円へ増やすとともに、ゆうパケットについては807億円を1600億円に倍増させる計画を描く。ただ、今回の不適切点呼に伴う行政処分を受け、計画は未達が見込まれる。それに加え、トラック事業の許可取り消しに伴い外部委託を進めたことで、外注費の増加による収益悪化も予想されている。

 

 さらに、ヤマト運輸からの委託による拡大を見込んでいたゆうパケットでも、ヤマトとの関係が悪化したことで、当初計画していた伸びは期待できない情勢となっている。日本郵便関係者は「ヤマトとの協業破談と不適切点呼で、荷物事業の成長戦略は完全に当てが外れた」と打ち明ける。

 

資金力は十分、トナミに続く大型M&Aに動くか

 

 日本郵政グループは現在、来期からスタートする新中計の策定作業を進めているが、肝心の荷物事業の先行きが不透明になる中で、どのような戦略を描くことになるのか――。関係者から聞こえてくるのはM&A戦略による国内物流事業拡大への期待だ。日本郵便は今年4月に特積み大手のトナミホールディングスを子会社化した。トナミHDの売上高は約1567億円(25年3月期)あり、同業で100%子会社のJPロジスティクスとの合算による事業規模は約2200億円に達するなど、特積み業界での一大勢力となりつつある。また、トナミHDの中核会社であるトナミ運輸は3PLなどロジスティクス事業の得意としており、こうした面でのシナジー創出への期待は高い。

 

 さらなるM&Aを望む声も社内では大きい。日本郵便は5月にゆうちょ銀行株を売却した資金で6000億円の増資を行っており、資金的な余裕は十分にある。荷物事業の行方が混迷する中、「物流業界再編の台風の目となる」として関係者の多くが日本郵便の動向に注視している。              

トナミHDへの期待が高まる
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