カーゴニュース 2024年6月18日 第5251号
日本倉庫協会の会長を退任した久保高伸氏(三井倉庫)は総会の挨拶で、任期中の活動を振り返るとともに、「2024年問題」に対する考え方や倉庫業界への影響について総括した。
久保氏(写真)は「物流革新に向けた政策パッケージ」に関し、「荷待ち時間の削減やトラックの積載率向上など“対策側”の取り組みの7割は倉庫業に関連している。トラックの発着点は倉庫であり、荷合わせなどの作業は倉庫で行われる。トラックの積載率や稼働率を向上させるには倉庫側のオペレーション改革が不可欠だと認識している」と述べた。
オペレーションの改革では、トラック予約システム、荷役ロボットの導入、パレットの統一・標準化が求められているが、「足元では業界の皆さんが苦戦されているという声も寄せられている」とし、トラック予約システムを例に挙げ、「せっかく導入しても、事前情報がトラック運行会社に伝達されていないために予約率が低かったり、空予約、ドタキャンもあるのが実情ではないか」と指摘。
荷役ロボットに関しても「実用化が進んでいるのはECや中小物の荷捌きに限られる。営業倉庫で多く取り扱っている重量物や異形長尺物などに対し、安価でかつコンパクトに対応できるものは、私が知りうる限りない。当面、営業倉庫の現場は人手に頼らざるを得ない。こうした(省力化)技術が及ばない現場を担っているのは中小の倉庫会社であり、資金面も含めて(導入の)ハードルが高いという実情も、ぜひ声としてお届けいただきたい」と呼びかけた。
パレットの標準化について「物流の全体最適のために必要」としたうえで、「1400mmサイズのパレットが1100mmサイズに変更されると、荷物の安定が悪くなり、倉庫で高積みできなくなり、保管料収入が減ってしまう。全体最適の中で個別の“痛み”が発生する。倉庫業は利益率が高くなく、荷主と板挟みになり発言力が弱い業界でもある。中小倉庫会社の資金力、人的リソース不足という二重苦に加え、昨今では賃上げもしなくてはいけないし、三重苦、四重苦と言っても過言ではない。賃上げや設備投資にはリソースが必要で、日倉協として国交省と連携し、荷主に理解と協力を求め、価格転嫁の推進を働きかけていく」と表明した。
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