カーゴニュース 2024年4月4日 第5231号
東京都は、トラックドライバーへの時間外労働の上限規制が適用される「2024年問題」への対応として、再配達削減等の物流効率化に向けたプロジェクトを展開していく。3月28日にキックオフイベントを開催し、プロジェクトの名称「東京物流ビズ」とロゴを決定。プロジェクトと協調して、募集を行っていた再配達削減に向け、置き配バッグの配布などの啓発活動を実施する事業者4社(佐川急便、日本郵便、バルクオム、ヤマト運輸)を決定し、発表した。
当日の登壇者は、東京都からは小池百合子都知事、谷崎馨一都市整備局長、栗岡祥一環境局長、坂本雅彦産業労働局長、松川桂子港湾局長。国からは国土交通省の鶴田浩久物流・自動車局長、経済産業省の中野剛志商務・サービスグループ物流企画室長。物流事業者からは、ヤマト運輸の阿部珠樹常務執行役員(東京統括)、佐川急便の吉田貴行取締役経営企画担当兼経営企画部長、日本郵便の津山克彦専務取締役兼専務執行役員。通販業者からは、アマゾンジャパンの道上淳之介アマゾンロジスティクスリージョナルディレクター、楽天グループの木村美樹上級執行役員、LINEヤフーの杉本務コマースカンパニーショッピング統括本部Yahoo!ショッピングプロダクトオーナー。関連団体・企業からは、東京商工会議所の野本弘文副会頭、日本自動車ターミナル(JMT)の藤田裕司社長、東京都トラック協会の浅井隆会長、日本消費者協会の橋本康正専務理事。
小池都知事は「eコマースの普及で自宅にいながら買い物ができることが当たり前の時代になった。購入した物が翌日に届くなど便利な生活は、物流事業者の皆様に支えられている。一方で、働き方改革関連法が施行され、トラックドライバーにも時間外労働の上限規制が適用される。物流は生活や経済、文化活動を支える重要な社会インフラであることは言うまでもなく、この機能を維持し、脱炭素を通じて東京を持続可能な都市とするためにも、物流の効率化はまったなしだ。消費者、荷主も含めて、社会全体で行動を起こすことが重要だ」と述べた。
さらに、「2024年問題」への対応として、「荷物が工場や生産地から消費者に届くまでの各場面をシームレスにつなぎ、取り組みを推進する」方針を示し、物流事業者の人材の確保や設備投資による効率化を補助金で支援する「物流事業者支援」(産業労働局)、東京港で扱うコンテナ貨物の国内輸送をトラックから船舶、鉄道に転換する「国内コンテナ輸送のモーダルシフトの推進」(港湾局)、荷捌きを効率的に行うための「貨物車駐車スペース提供事業」(都市整備局)、「宅配ボックス設置支援」環境局)および置き配バッグの配布支援など「再配達削減の取組」(都市整備局)を紹介。
この後、国交省の鶴田物流・自動車局長が「物流革新に向けた政策パッケージ」の概要を説明。東京商工会議所の野本副会頭は、企業規模の大小に関わらず、企業が発注者の立場で自社の取引方針を宣言する「パートナーシップ構築宣言」などの東商の取り組みを紹介した。ヤマト運輸の阿部常務執行役員は再配達の削減に向け、荷物の配達予定や不在時の連絡のほか、受け取り日時や場所を指定できる「クロネコメンバーズ」、特定のオンラインショップで注文した場合に商品の受け取りを置き配に指定できるサービス「EAZY」について紹介。東京都トラック協会の浅井会長はトラック業界の現状を説明し、トラック輸送の維持に向け、運送回数の削減や適正運賃・料金収受に対する荷主の理解を訴えた。
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