つくばみらいセンターの外観

カーゴニュース 2024年8月1日 第5264号

パルシステム連合会
「つくばみらいセンター」を開設

2024/08/01 10:44
荷主・物流子会社 倉庫・物流施設

 パルシステム生活協同組合連合会(大信政一理事長)は7月23日、冷凍品の専用センターとして「つくばみらいセンター」(茨城県つくばみらい市)を開設した。パルシステムは関東を中心とした1都12県向けの商品宅配事業などを展開するが、冷凍品はこれまで東京都八王子市の「南大沢センター」からほぼ全量が出荷されていた。冷凍食品の需要増を受けて同所が手狭となっていたことや、BCP対応の強化などを目的に新センターを開所したもの。


 つくばみらいセンターは敷地面積1万9458㎡、延床面積9059㎡の平屋建て、事務所部分のみ2階建てとなる。1都12県にある64ヵ所の配送センターのうち茨城県、栃木県、千葉県、福島県の4県18配送センター向けの出荷を担当。物流子会社のパルラインがセンター内での集品業務と南大沢センターからの商品転送業務を受託し、同じく子会社のパルシステム・イーストが新センターへ本社を移すとともに、各配送センターへの輸送(基幹物流)を担う。

 

 新センター開設後も南大沢センターは冷凍品のメインDC(在庫型拠点)として稼働し、つくばみらいセンターは4県向けのTC(通過型拠点)として位置づける。今年度中に対象エリア向けの出荷業務を南大沢センターから段階的に移管し、フル稼働となる今年11月にはパルシステムの冷凍セット全体の約23%にあたる1日6400ケースの出荷を見込む。稼働日は組合員宅へ配達する1日前に集品作業を行うため日~木曜日の週5日だが、金・土曜日も商品入荷の受付や補充のため限定的に業務を行う。庫内従業員は約100人の見通し。


 場所はつくばエクスプレス「みらい平駅」から徒歩圏内で集人に優位性を発揮するとともに、配送エリアである4県へのアクセスにも優れる立地。用地は2021年に茨城県から取得した。センター周辺が住宅街であることから施設塗装にはアースカラーを取り入れて周辺環境に溶け込むデザインとしたほか、敷地の一部を歩道として近隣住民に開放する。また、除湿器やコンプレッサー用吸排気、冷凍冷蔵室外機などの音の出る機材は2階屋上に配置して遮音壁を設けることで近隣住宅にも配慮した。


 庫内設備は基本的には南大沢センターと同じマテハンシステムを導入し、マテハンメーカーは引き続きトーヨーカネツを採用した。

ケース自動倉庫

 具体的な庫内作業としては、まず入庫した商品を「天カットエリア」で事前に段ボールケースの天面をカットして「ケース自動倉庫」(マイナス25℃、4320ケース)へ投入。ケース自動倉庫から出庫された商品は、「商品補充庫」(マイナス15℃)でケースのバーコードを読み取り、自動で棚に補充される。商品補充庫では補充作業を完全自動化し、低温度帯での人力での作業をなくすことで補充ミスを防止。同所での取り扱い可能品目数は計486品目となり、南大沢センターの438品目を上回る能力を確保した。

 
 棚に補充された商品は、2本の「集品ライン」(5℃)で組合員ごとにピッキングする。集品ラインの全ての棚にはウェイトチェッカー付きの商品自動投入機を標準装備してセットミスを抑止するとともに、集品後の箱の中をカメラで録画することで業務改善にも活かす。エリア内には冷凍機から出る廃熱を利用して空間を温める「ヒートリクレイム装置」を設け、室内が冷えすぎないよう温度バランスを保つ。

集品ライン

 商品が詰め合わされた大型保冷容器は自動積み付け機で専用台車に積載されるが、積み付け機も南大沢センターでは1ラインあたり1基稼働していたが、つくばみらいセンターは2ラインで1基の稼働とすることで作業効率の向上と少人化を図った。セット後の商品をトラックに荷積みするまでは入出荷待機冷凍庫(マイナス25℃)で一時的に保管し、同所には1日分の物量と翌日使用分の商品を保管するスペースを確保した。

自動積み付け機

 同施設は、大規模災害発生時のリスク分散などを目的に開設することから、受電設備は水海道変電所と福岡変電所の2回線受電を完備し、落雷などでも稼働を止めないよう対策を講じる。

 

 環境面にも配慮し、全館LED照明とするとともに、一部には太陽光照明を用いて自然光を利用することで電気使用量を削減。共用エリアは人感センサーで無人時も10%の照度を保つほか、時間帯により照明の色も変化させる。今年度中には全量自家消費を目的とした太陽光発電設備を設置する計画。屋外には、太陽光と風力エネルギーを用いたハイブリッド街灯照明2基も設けた。

 

 ケース自動倉庫と入出荷冷凍庫にはCO2自然冷媒(R744)機器を使用し、省エネと地球温暖化係数(GWP)=1に配慮。トラックヤードにはスタンバイ電源装置を設け、エンジンをかけない状態での車両の冷やし込みを可能とする。これらに加え、東日本大震災復興支援活動として、宮城県三陸町より間伐材を仕入れ、休憩室内の腰壁やウッドデザインに使用した。

 

 7月23日には開所式が開かれ、大信理事長は「新センターの開設により、冷凍商品の品揃えの柔軟度が高まりアイテム増が可能になる。この施設が、近隣の方々とともに歩み、供給商品を組合員に喜んでもらえるようになりたい」と挨拶した。


 また、来賓として出席した日本生活協同組合連合会の土屋敏夫代表理事会長は「現在、冷凍食品事業は生協の基幹的な商品の核であり、冷凍食品の注文増と質向上に対応するとともに、物流全体のリスク分散にも大きな意味を持つ拠点となる」と祝辞を述べた。

 

 開所式では鏡開きも開かれた。

大信理事長
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