カーゴニュース 2024年8月1日 第5264号
アライプロバンス(本社・東京都墨田区、新井太郎社長)は7月23日、8月に竣工予定のマルチテナント型物流施設「アライプロバンス葛西A棟」(東京都江戸川区)のメディア関係者向け内覧会を行った。都内最大級となる延床面積約8万7122㎡の鉄骨造地上5階建てで、ダブルランプ式を採用した「都市型物流拠点」。各階の倉庫は4区画に分割して賃貸可能な設計とし、2・3階には「HYPERSPACE/LOGISTICS」と命名した多用途・小区画分割可能ゾーンを実現。従来の倉庫にとらわれないフレキシブルなオーダーに対応できる最低350坪からの分割プランを提供する。
陸・空の交通が充実、人材確保でも競争力
同施設は東京都江戸川区東葛西の工業地域に立地し、総敷地面積は約3万5039㎡。首都高速湾岸線「葛西IC出口」から約4㎞、「浦安IC」から約7㎞で羽田空港にも約22㎞と陸・空の交通が充実し、物流拠点として最適なエリアとなっている。
東京メトロ東西線「葛西駅」から約1・8㎞、JR京葉線「葛西臨海公園駅」から約3・1㎞に位置し、東京方面、千葉方面まで多路線の幅広いアクセスが可能で、バスの便も充実していることから、人材の確保においても競争力を持つ。
大型商業施設(アリオ葛西、島忠ホームズ葛西店)、スパ施設に隣接しており、周囲にはカフェ、飲食店、コンビニが数多く立地。近傍にある地域住民の憩いの地にもなっている「なぎさ公園」や旧江戸川の河川敷が緑と潤いを与えてくれる就業空間となる。
分割で“倉庫プラスアルファ”の使い方も可能
最小区画350坪~1フロア3900坪まで最大23区画に対応。2階は最大9区画(350坪から)に分割でき、営業所、ショールーム、スタジオなど倉庫プラスアルファの使い方が可能。3階は最大6区画(500坪から)の分割に対応する。
4・5階は2層使いできるメゾネットタイプで、1300~3000坪の中規模物流拠点のニーズに最適。4階から5階の縦搬送では貨物用エレベータ(計4基)、垂直搬送機(計2基)を設置し、トラックバースと車路のない5階はより広くスペースを使える。
床耐荷重は1・5t/㎡で、1階は2・5tカウンターフォーク、4・0tカウンターフォークに対応。柱スパンは10・8m×10・5m、梁下有効は5・5m(4階の一部は5・4m)を確保している。
プラットホームは1・0mで、ドックレベラーは1~4階に各5台ずつ、計20台を設置。トラックバースは128台(4t192台、10t128台)確保し、40ftコンテナ車にも対応する。
ランプウェーは上りと下りを分け、トラック待機場は10台(10t車)、敷地内の駐車場113台(普通車106台、軽自動車5台、バス2台)、駐輪場149台(自転車133台、バイク16台)分を用意した。
環境面では、CASBEE(建築環境総合性能評価システム)でAランクを取得予定。全館LED照明を採用し、屋上に太陽光パネルを設置する予定。BCP対策としてキュービクル、発電機、受水槽の高さを浸水高さよりも高い位置に設置した。
非常用発電は災害時による停電時に72時間電源を供給可能で、受水槽は想定人員の3日分の水量を確保。隣接する旧江戸川沿いの「スーパー堤防計画」に参画し、水害対策にも寄与する。また、24時間365日体制の防災センターを設けている。
快適性にこだわりホスピタリティ溢れる設備
働く人の快適性にもこだわった。館内には専用の事務所区画のほか、共用施設として南北2ヵ所のリゾートホテルライクなエントランス、最上階のカフェラウンジ「ポート」と「ビーチ」、無人コンビニを配置し、ホスピタリティ溢れる充実した設備を備えた。
敷地内南側には築山や枯山水にカラフルな鉄と石のオブジェを配置し、表情豊かな植栽のカルフォルニア風のリゾート感を演出。旧江戸川との親水を表現したランドスケープ「葛西アートの森」を創造した。
ランドスケープデザインは、ルイ・ヴィトンのポップアップストアや瀬戸内醸造所の設計を手掛け、国内外で高い評価を得る一級建築士・菅原大輔氏がグッドデザイン賞受賞の「アライプロバンス浦安」に続き設計を担当。また、屋上には「絶景テラス」を設置した。
今回の開発は、土地区画整理事業として位置づけられ、西側区道沿いには南北約400mの歩道を新たに整備し江戸川区に提供。将来隣接するB棟敷地建物建築完了時には、区道から旧江戸川を結ぶ北側・中央・南側3本の緑道を作る予定。
引き合い旺盛、保税・通関業者などの入居が決定
現在までに契約ベースで20%、保税・通関業者3社とネットスーパー事業を手がけるイオンネクストデリバリーの計4社の入居が決まっている。引き合いも旺盛で、冷凍・冷蔵ニーズへの対応もコストを試算しているという。
新井社長は、「アライプロバンス葛西A棟は、2021年に竣工したアライプロバンス浦安に続く、当社の物流施設事業の第2弾。浦安の施設をはるかにしのぐ規模であり、まさに“本丸”の事業と位置付けられる」と強調。「当社は昭和14年からこの地で新井鉄工所・江戸川工場として事業を営み、主力工場だった。私も工場長を長く務めており、いまこの地で新たに物流施設が誕生し、感慨をおぼえる」と述べた。
物流施設事業を通じた地域貢献にも触れ、今後整備される緑道を通じて災害時などには河川からの物資輸送などにも活用できるとした。
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