カーゴニュース 2025年7月29日 第5359号
地球温暖化の影響により気温が40℃近くに達する酷暑日が近年増加し、倉庫・物流施設内の労働環境の改善が急務となっている。三和シヤッター工業(本社・東京都板橋区、髙山盟司社長)は、温度管理を行っている工場や倉庫の開口部に最適な、断熱性能を有した高速シートシャッター「断熱クイックセーバーTR」を開発。「高速での開閉」と「断熱性能」の両方を実現した環境配慮型のシャッターで、冷凍・冷蔵倉庫のみならず、空調を導入している常温倉庫でも注目されている。
カーテンに断熱材、結露対策にも有効
2023年にリリースした「断熱クイックセーバーTR」は、カーテンに断熱材を組み込むことで、サッシ断熱性能等級H―5(熱貫流率は2・15W/㎡・K)を実現。断熱材はアルミ箔を貼付した2層のエアキャップを使用し、2重構造により安定した断熱性能を発揮する。
開放速度0・8m/秒、閉鎖速度0・5m/秒、使用頻度60回/時間という高速かつ高頻度の使用に対応し、空気の流出・流入を抑えることで空調効率の向上に寄与。開閉が高速であるため、作業員のアイドルタイム削減にもつながる。高速・高頻度対応シャッターで断熱性能を有する商品は業界初となった。
シートをパイプレス構造とすることでレールとの隙間を最小限に抑え、上回りケースとレールの間にまぐさシートを取り付けることで密閉性を高めていることも特長のひとつ。さらに、断熱材を組み込んだシートを採用することで、シート表面の結露発生の低減効果が期待できる。
結露が発生すると床面に水たまりができ、滑ったり事故のリスクが高まるほか、商品の水濡れをはじめ衛生上も問題がある。「断熱クイックセーバーTR」は断熱材が入った部分では、室温20℃(湿度70%)~0℃の環境下でシート表面には結露が発生しない。既存施設でのシャッター取り換えにも対応し、工事期間は養生や電気工事などを含めて1ヵ所につき3~4日間だという。
同社では、「断熱クイックセーバー」の導入に際し、独自の省エネシミュレーションサービスも実施している。開口、内部空調設定温度、空調稼働時間、外部気温、外部風速、「フォークリフト通過時のみの開閉で1日40回開閉」といった条件を設定し、年間のエネルギーロス抑制効果やCO2排出量削減効果などを現状と比較できる。
チルド帯対応のオーバースライダーも
三和シヤッター工業が注力するもうひとつの商品が「高断熱オーバースライダー」だ。従来、チルド帯・マイナス5℃帯の保冷倉庫は防熱扉が運用されていたが、使い勝手や戸袋部分のデッドスペースの問題により、オーバースライダーのニーズが高まっていた。そこでマイナス5℃帯にも対応可能な高断熱オーバースライダーを新規に開発した。
従来のパネル厚60㎜から、パネル厚80㎜タイプを採用。縦框をスチール+樹脂分割構造とし、パネル両端部の熱伝導を低減。躯体~パネル間の断熱構造を引き上げるとともに、端部パッキンの形状と素材を見直し、上下パネル間の気密性を高めた。これにより、業界トップクラスの断熱性能(熱貫流率0・484w/㎡k)を実現している。
同社では、「倉庫内の労働環境の改善、荷物の温度管理に加え、施設としてのCO2排出量削減が求められている。環境対策商品の開発と提供を通じて、サスティナブル社会の実現に貢献したい」とし、断熱性能にこだわったシャッターやシャッター関連商品を低温物流企業や物流不動産デベロッパーにアピールしていく考え。
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