カーゴニュース 2024年10月29日 第5287号
アライプロバンス(本社・東京都墨田区、新井太郎社長)は23日、大型マルチテナント型物流施設「アライプロバンス葛西A棟」(東京都江戸川区)の竣工パーティーを現地で開催した。都内最大級となる延床面積約8万7122㎡の鉄骨造地上5階建て、ダブルランプウェイ方式を採用した「都市型物流拠点」として8月に竣工。各階の倉庫は4区画に分割して賃貸可能な設計で、2・3階には、「HYPERSPACE/ LOGISTICS」と称する多用途・小区画分割可能ゾーンを設定、最低350坪から利用できるのが特徴だ。
「2024年問題」、立地がソリューションに
竣工パーティーで新井社長は、「当社は昨年120周年を迎えた。その100年以上は新井鉄工所、つまり製造業としての歴史だった。石油掘削関連製品を製造してきたが、時代の流れ、産業構造の大きな変化により、日本で、しかもこの東京で行う事業ではなくなってしまった。『100年以上続いた経営の灯を、決して絶やすことがあってはならない』という強い信念のもと、180度の業態転換を図り、次の100年につなげるべく、第二の創業の道を選択した。当社の財産、経営資源は何か――と考え、葛西と浦安の工場跡地を最大限活用しようというのが、導き出した答えだった」と振り返った。
「2016年に『物流クライシス』という言葉が叫ばれ、東京近郊に物流倉庫が不足し、このままではパンクしてしまうという問題を聞き、『これだ』と思った。3年前に『アライプロバンス浦安』を竣工し、それをしのぐ規模の『アライプロバンス葛西』が完成した。この施設の最大の特徴は立地の優位性にあり、昨今叫ばれている『2024年問題』は立地がソリューションになる」と強調。
さらに、「当社ならではの遊び心も忘れていない。展望ラウンジ、屋上テラス、コンビニ、ホテルライクなエントランス、アート庭園などを整備し、ここで働く皆さんに快適に過ごせるようホスピタリティにこだわった。土地区画整理事業として開発し、江戸川区への恩返しとして、今回、前面区道沿いに400mの歩道を提供し、将来施工分を含み、区道から江戸川に至る東西の緑道を3本提供する。3年後には江戸川にスーパー堤防が築かれ、その堤防と緑道を連結することでこの町に新たな回遊性が生まれる。この施設は物流業界のみならず、地域社会の貢献に一役買うことを確信している」と語った。
竣工パーティーでは、テープカットが行われ、書家による書道パフォーマンスも披露された。新井嘉喜雄会長は、工事関係者に謝辞を述べたうえで、「今から60年前、私は父親に連れられてこの場所に来たことがある。その後、アライプロバンスの前身である新井鉄工所の工場が次々と建設されていった。その工場跡地に最新鋭の物流倉庫が竣工した」と感慨を述べた。
交通アクセス、人材確保面でも競争力
同施設は東京都江戸川区東葛西の工業地域に立地し、総敷地面積は約3万5039㎡。首都高速湾岸線「葛西IC出口」から約4㎞、「浦安IC」から約7㎞で羽田空港にも約22㎞と陸・空の交通が充実し、物流拠点として最適なエリア。
東京メトロ東西線「葛西駅」から約1・8㎞、JR京葉線「葛西臨海公園駅」から約3・1㎞に位置し、東京方面、千葉方面まで多路線の幅広いアクセスが可能で、バスの便も充実し、大型商業施設に隣接するなど、人材の確保においても競争力を持つ。
多用途・小分割のフロアがある一方、4・5階は2層使いできるメゾネットタイプで、1300~3000坪の中規模物流拠点のニーズに最適。4階から5階の縦搬送では貨物用エレベータ(計4基)、垂直搬送機(計2基)を設置し、トラックバースと車路のない5階はより広くスペースを使える。
床耐荷重は1・5t/㎡で、1階は2・5tカウンターフォークに対応。柱スパンは10・8m×10・5m、梁下有効は5・5m(4階の一部は5・4m)を確保している。
プラットホームは1・0mで、ドックレベラーは1~4階に各5台ずつ、計20台を設置。トラックバースは128台(4t192台、10t128台)確保し、40ftコンテナ車にも対応する。ランプウェーは上りと下りを分け、トラック待機場は10台(10t車)、敷地内の駐車場116台(普通車109台、軽自動車5台、バス2台)、駐輪場149台(自転車133台、バイク16台)分を用意している。
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