カーゴニュース 2025年7月22日 第5357号
小泉進次郎農林水産大臣(写真)は15日の記者会見で、随意契約の備蓄米の出荷を現行のペースの2倍に加速するため、倉庫業者の作業料金を引き上げると表明した。ただ、7月11日から8月10日までの「集中実施期間」にそれまで以上に出荷量を増やした場合が対象となり、倉庫業者からは「これまでも大量に出荷しており、熱中症のリスクもある中で出荷ペースを2倍に増やすことは著しく困難だ」との声も聞こえてくる。
小泉氏は随意契約による備蓄米の出庫について、「倉庫業者の方々に連日の酷暑の中で作業に従事していただいており、厚く御礼申し上げる」と謝辞を述べたうえで、「取引期限である8月20日までにお届けするには、現行の出庫ペースを2倍以上に加速する必要がある。先週、倉庫業者の皆様と農水省職員で意見交換し、現場のご苦労や支援の要請を受けたと報告を受けた」ことを明かした。
これらも踏まえ、「7月11日から8月10日までを『集中実施期間』として、期間内に出庫数量およびメッシュチェックの数量を従来以上に増やしていただいた場合、それぞれの作業料金を引き上げるなどの取り組みを行うことで、出庫加速化を支援していく」と述べた。
これに対し、倉庫業者からは冷ややかな反応がうかがえる。これまでにも備蓄米を保管する倉庫業者は農水省に対し、備蓄米放出に伴う保管料の支援のほか、出荷量の増加による作業員の残業増加や休日作業の負担に対する経費面での支援を訴えてきた。
ある倉庫業者は「6月には1日に3000~5000t、トラック20~40台分を出荷した倉庫もあり、7月にこれ以上出荷するのは難しい。熱中症で倒れた作業員もいると聞いている。夏期は定温倉庫から出荷する際に結露しやすく、カビ発生のリスクがあり、1年のうちに最も出荷したくない時期だ」として、備蓄米保管の現場の実態に即した対応を求めている。
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