カーゴニュース 2024年4月25日 第5237号

JAFA
24年度の事業方針を発表

危険物講習の受講支援に注力

2024/04/25 13:16
航空 グローバル物流 団体

 航空貨物運送協会(JAFA、岡本宏行会長)は19日、記者懇談会を開催し、2024年度の事業計画を発表した。安定した航空貨物輸送の維持に向けて「安全」「教育訓練」「物流の効率化」を活動の要として事業を推進。会員事業者や荷主などに対し危険物輸送に関する講習の受講を広く呼びかけるとともに、資格取得支援、周知・啓発活動に注力していく。

 

 冒頭、岡本会長(写真)は挨拶の中で「2024年問題」の対応について触れ「発着地と空港間の陸上輸送は航空貨物から切り離せないもの。JAFAでは昨年12月に自主行動計画を策定しており、今後も安定した航空貨物輸送サービスの継続のために、航空フォワーダー各社と荷主、運送事業者が一層連携を強化して対応していくことが重要となる」と述べた。

 

 教育訓練事業については昨年度、IATACBTAプロバイダーとして危険物講習を開催し、約800人が参加。岡本会長は「荷主企業に危険品取扱いの理解を深めてもらうことは、航空貨物輸送に不可欠となる。今年度も引き続き荷主企業などに講習への参加を呼びかけていく」と語った。

 

 部会別の活動として、総合部会の空港対策委員会では「新しい成田空港」の構想に関し、航空貨物輸送に関わる空港の利便性向上に向けて、関係機関との意見交換や会員企業向けの周知活動を実施していく方針。

 

 国際部会では、航空貨物運送状のデジタル化(e‐AWB)促進や危険物申告書(DGD)のペーパーレス化を通じて物流DXを推進。加えて、会員事業者や荷主、輸配送事業者への危険物取扱いに係る教育訓練や資格取得の推奨・支援を継続していく。国際教育委員会では、基礎講習会の年2回開催やIATAディプロマ認定試験での資格取得支援に注力する。

 

 国内部会では、航空危険物輸送に関する教育訓練の推進や、無申告危険物の搭載防止に向けた啓発活動を進めていく。また、通関部会では、財務省関税局と通関のシステムに関する意見交換会を定期開催する。加えて、第7次NACCS開発に委員を派遣し、協会としての意見を伝えるとともに決定仕様に関する情報収集を進める。

 

23年度の輸出重量は過去最低水準を記録

 

 23年度(23年4月~24年3月)の国際航空貨物輸送実績は、輸出が227万8833件(前年度比9・1%減)、75万9419t(18・2%)と低迷。輸入も170万6850件(12・7%)、69万7473t(17・9%)となり、年度を通して荷動きは低調だった。コロナ禍の影響で混乱していた海上輸送の正常化に加え、海外経済の低迷などを背景に物量が大きく減少。特に輸出重量はJAFAが実績の統計を取り始めた1998年以降で最低の数字となった。岡本会長は「輸出は長くマイナス傾向があり、今年1月は25ヶ月ぶりにプラスに転じたものの、2月には再度マイナスに戻った」と説明した。

 

 今後の貨物動向については「劇的に変化することはないだろうが、荷動きは上向くだろうと捉えている。特に中国が半導体を国産化するようになったことから、中国向けの半導体製造装置の荷動きも堅調になりつつある」と説明。さらに、「インドやメキシコでは荷量が増加傾向にあり、この傾向は今後も継続していくと見ている。メキシコはアメリカへの輸出におけるクロスボーダー拠点としての需要が期待できる。インドは『メイク・イン・インディア』の政策を背景に、アフリカ・中東方面の製品など、インド洋を経由した荷動きの増加が見込まれている。完成品が海上輸送で運ばれた場合、補給品が航空輸送されることもあり、そうした荷動きに注視していく」と語った。

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