カーゴニュース 2024年12月3日 第5297号
エコドライブ普及推進協議会と交通エコロジー・モビリティ財団(エコモ財団、岩村敬会長)は11月22日、今年度の「エコドライブシンポジウム」を都内で開催した。同シンポジウムは、環境にやさしいエコドライブの普及促進に向けて、毎年11月のエコドライブ推進月間に開催されるもの。当日は「エコドライブ活動コンクール」受賞企業の表彰に加え、受賞企業による取組事例の発表が行われた。
開会に先立ち、岩村会長が挨拶の中で「近年の気候変動に伴う異常気象や自然災害の増加により、地球温暖化への早急な対策が求められている。自動車からのCO2排出量は国内の排出量の18%を占めており、環境に配慮した車両への転換は極めて重要な課題となっている」と指摘。そのうえで「エコドライブは現在使用している車両の運転を工夫するだけで、今すぐ、どこでも、誰でも手軽に取り組むことができて、かつ効果がある方法だ。今日のシンポジウムを通じて、脱炭素社会実現の機運醸成とエコドライブの促進につなげていく」と述べた。
続いて、国土交通省総合政策局の大野達次長、環境省水・大気環境局モビリティ環境対策課の平澤崇裕課長が挨拶した。
今年度の「エコドライブ活動コンクール」の表彰式では、国土交通大臣賞(事業部門)、環境大臣賞(一般部門)など上位入賞者に表彰状が手渡された。今年度は348件・1759事業所の応募があり、審査委員会の審査を経て、各大臣賞のほか、優秀賞6件、審査委員長特別賞1件が選出された。審査委員長を務めた早稲田大学名誉教授の大聖泰弘氏は事業部門について「テレマティクス機器の活用やグループ単位での協力・競争といった工夫により、事業者ごとの実態に応じた取り組みが行われており、活動の質やモチベーションの向上につなげている」と解説。一般部門については「エコドライブ活動を社内に定着させることで、ドライバー自身が活動の向上に向けた提案を行うようになるなど、取り組みの継続を通じて社内環境に変化が生じている事例が目立った」と総括した。
受賞企業が講演、独自の取り組みを紹介
表彰式に続き、受賞企業による講演が行われた。国土交通大臣賞を受賞した上越運送(本社・新潟県上越市、小関健司社長)、環境大臣賞を受賞した利根川産業(本社・東京都足立区、利根川満彦代表取締役)、審査委員長特別賞を受賞した沖縄トヨタ自動車(本社・沖縄県浦添市、野原朝昌社長)、優秀賞を受賞したさいたま市役所の4者が独自の取組事例とその成果を発表した。
上越運送はエコドライブスキルの向上を目指す年2回の「エコドライブ実技講習会」や無駄なアイドリングの根絶を目指す「アイドリングストップ大作戦」、さらに「安全大会」、「標語コンテスト」などの開催を通じて、全社員がエコドライブ活動に参加できる環境を構築。2017年以来の国土交通大臣賞受賞となった。
一般・産業廃棄物の回収やリサイクルを手がける利根川産業は、社内にエコドライブ推進組織を設置し、活動の計画・実行・評価を推進。BIツールによる燃費および車両の管理・分析を進めるとともに、ビジネスチャットを活用し、各種活動情報の社内共有と迅速なフィードバックを実現している。
沖縄トヨタ自動車は燃費管理支援サイト「燃費王サイト」を運営するとともに、社内でも活用して社員自ら走行距離と給油量を入力することで正確な燃費の把握・管理を推進。また、燃費効率の良い走行を競う「燃費王決定戦」を沖縄県内で定期的に開催し、九州地方にも大会規模を拡大するなど、継続的な取り組みを進めている。
さいたま市役所は、「さいたま市交通環境プラン」の施策に「エコドライブの推進」を組み込み、職員の通勤におけるCO2排出量を算出し、エコドライブ通勤を推進。加えて、市内でのデジタルサイネージ掲出やイベント開催、TV・ラジオなどを通じて、市民に対しエコドライブの普及啓発に取り組んだ。
今年度のエコドライブ活動コンクール上位入賞企業は次の通り。
▽国土交通大臣賞(事業部門)=上越運送▽環境大臣賞(一般部門)=利根川産業▽優秀賞(事業部門)=SBS三愛ロジスティクス物流センター宮城第二、F―LINE栃木物流センター、石原運輸、西濃運輸▽優秀賞(一般部門)=さいたま市役所、沖縄トヨタ自動車▽審査委員長特別賞(支援ビジネス・ユニーク部門)=沖縄トヨタ自動車
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