カーゴニュース 2025年8月21日 第5364号
NIPPON EXPRESSホールディングス(本社・東京都千代田区、堀切智社長)の2025年12月期第2四半期の連結業績は、売上高1兆2719億8900万円(前年同期比1・8%増)、事業利益319億円(25・7%増)、営業利益287億9000万円(50・7%増)、当期利益86億400万円(24・2%減)だった。
日本での航空フォワーディングの好調に加え、欧州で2月にグループ会社化した独Simon Hegele(シーモン・へーゲレ)社の業績が加わったことで売上高が増加。加えて、ロジスティクス事業の日本セグメントの増益やNX商事の堅調による物流サポート事業の増益が利益を押し上げた。また、前年における名鉄運輸を統合した際の減損損失の計上からの反動増もあり、営業利益は5割の大幅増となった。一方、当期利益は円高による為替差損が影響して2ケタ減益となった。
セグメント別にみると、ロジスティクス事業の日本セグメントは航空フォワーディングの販売単価上昇や料金改定、粗利単価の改善などで売上高6259億円(2・2%増)、事業利益192億円(23・8%増)の増収2ケタ増益を確保した。海外セグメントは、米州と東アジアは減収増益、欧州と南アジア・オセアニアが増収減益だった。
警備輸送は減収減益、重量品建設と物流サポートは増収増益だった。
海外の航空FW厳しく、
業績予想の全項目引き下げ
通期業績予想は、売上高2兆6000億円(前期比0・9%増)、事業利益700億円(10・1%増)、営業利益700億円(42・6%増)、当期利益400億円(26・1%増)の増収2ケタ増益を見込む。2Qまでの業績に加え、今後の米国関税政策の影響や荷量動向などを勘案し、売上高や各利益を下方修正。売上高は、予想値から1000億円、事業利益は100億円、営業利益も100億円、当期利益は150億円引き下げた。セグメント別の業績予想では、本格的な物量需要回復に時間がかかるとして全セグメントで下方修正した。
説明会の中で大槻秀史常務執行役員経営戦略本部長は下方修正の要因として、「米国の関税政策について顧客企業の多くが状況を静観しているため、物流需要が減少していることに加え、航空と海運の需給バランスに緩みが生じることで販売単価が下落し、粗利が全体的に下がるという影響が出てきている。今回の下方修正で事業利益を100億円ほど引き下げたが、このうち60~70億程度は米国関税政策の影響となっている」と説明した。
さらに「海外セグメントの業績が当初の見通しに達しておらず、下半期にもそれが継続すると見ている。関税の影響だけでなく、航空フォワーディング自体が非常に厳しく、数量が確保できても粗利が確保できないため利益につながらない。とくに厳しいのは欧州と南アジアだ。欧州はドイツの経済状況が悪く、イタリアではハイファッションの取り扱いが低迷している。南アジアでは、今年度に新たな倉庫を設けたり、拡張したりする計画があるものの、立ち上げ時期の都合もあって倉庫がすぐに埋まることはないため、コスト面で足を引っ張っている状況にある」と述べた。
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