カーゴニュース 2024年12月10日 第5299号
JR貨物(本社・東京都渋谷区、犬飼新社長)は4日、企業ブランディングなどを手がけるCGOドットコム(本社・東京都渋谷区、代表者・バブリー総長)と共同で、JR貨物の廃材を活用したアップサイクル商品の開発プロジェクト「KAMOTSU UPCYCLE(カモツアップサイクル)」を開始すると発表した。「Z世代共創プロジェクト」として、社会課題に意識の高いZ世代と連携。JR貨物の廃材からアップサイクルした商品を共同開発し、2025年秋冬の商品化を目指す。
今回のプロジェクトでは、JR貨物ですでに使われなくなった、線路の「レール」や古い「制服」、鉄道貨物コンテナ内の「ベニヤ板」を材料に、新たな商品を開発する。都内で4日に行われた発表会には、両社社員に加え、ピアニストや鉄道YouTuberなどZ世代のインフルエンサーが出席。バブリー総長がプロジェクトの背景について「BtoBを主な事業とするJR貨物とZ世代を中心とした消費者の間には距離があり、当社がギャルマインドでつなげていく。アップサイクルの取り組みにより、環境にやさしいJR貨物の魅力の認知といった効果が期待できる」と説明した。
両社は9月に、共創プロジェクトの第1弾として、「JR貨物の廃材をアゲに変えるには~」をテーマに、JR貨物の社員とZ世代のインフルエンサーによる「ギャル式ブレスト」をJR貨物隅田川駅で行った。「ギャル式ブレスト」はCGOドットコムが独自に開発したギャル式マインドを軸にしたブレインストーミングであり、肩書きや役職に関係なく、敬語禁止、あだ名呼び、リアクション多めなどのルールのもと、年齢や職種を超えたコミュニケーションを活性化するためのプログラム。今回のブレストでは「レール」「制服」「ベニヤ板」を担当する各チームに分かれ、アップサイクルした商品のアイデアについて議論した。
今回の発表会ではその結果を報告。「レール」チームは、“推し”への想いを表現した「重すぎるアクスタ」と錆びても磨ける「レールペアリング」を提案。「制服」チームは御守や可愛くリメイクした制服を発表し、「ベニヤ板」チームは会社にメッセージを設置できる大きな文字パネルや“推し”への願いを書く「バイブス絵馬」を提案した。今後はプロジェクトの第2弾として、マーケットリサーチやプロトタイプの試作、テストマーケティングなどを実証し、25年秋冬頃の商品化を目指す。
ブレスト結果の発表後、犬飼社長とバブリー総長によるトークセッションが行われた。犬飼社長はプロジェクトの意義について「当社社員のZ世代の割合を調べてみたら、3分の1程度にあたる約1500人が該当した。当社はBtoBの事業が基本だが、その先には消費者がおり、Z世代は消費者の中で最も影響力がある世代。しかし、JR貨物が何をしている会社なのか知らない人もいる。お互いに理解を深めることが今後の市場展開につながっていく」と語った。
バブリー総長は「鉄道輸送はとても環境にやさしく、JR貨物がちゃんと生活者を見てくれている企業だとわかり、一緒に何かできるだろうと思ったことが今回のプロジェクトにつながった」と説明したうえで「当社は人から人へ『バイブス(雰囲気)』を運ぶことをサポートしている。両社は〝はこぶ〟をビジネスにしており、物理的移動を超えた付加価値を捉えることが、〝はこぶ〟の未来の可能性となる」と述べた。そのコメントを受けて犬飼社長は「鉄道輸送によって社会生活を支えるとともに、大切に届けることで『バイブス』も運ぶ。そんな未来を築いていく」と答えた。
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