カーゴニュース 2024年5月30日 第5246号
化学品・危険物物流の「2024年問題」対策として、ISOタンクコンテナのデポが注目を集めている。デポを中継拠点とすることで、エンドユーザーまでの輸送距離を短縮できることから、デポでの一時保管をタンクコンテナの物流に組み込む動きがある。名港海運(本社・名古屋市港区、髙橋広社長)は、三重県木曾岬町で昨年1月に開業した日本最大級のタンクコンテナのデポの活用を、荷主や物流関係者に積極的に提案していく考えだ。
名港海運では、木曽岬新輪工業団地に確保した約6万㎡の事業用地のうち、約2万2000㎡を使ってISOタンクコンテナのデポを建設。洗浄・メンテナンス、修理・検査、空タンクの保管に加え、実入りタンクの保管や加温も行う。
施設内にはトップリフター、リーチスタッカーを配備。保管スペースには空タンクおよび非危険物の実入りタンク690基を保管可能で、危険物屋外貯蔵所(24基)、屋外毒劇物貯蔵所(6基)と合わせた保管能力は計720基と日本最大級を誇る。
作業スペースには、同時に6 基を加温できる加温レーンを設置。保管と加温を同一施設内で行えるため、実入りタンクをデポで一時保管し、エンドユーザーが希望するタイミングに合わせて加温し、JIT(ジャストインタイム)納品できる。
洗浄棟では省力化・自動化を実現するオランダ製の最新の洗浄設備を導入。前荷の洗浄に必要な洗浄液の“レシピ”を事前に登録し、1日に約15基を洗浄できるなど生産性を高めている。メンテナンス棟ではバルブを外した分解洗浄や、消耗品の交換を行う。
修理棟は天井クレーンを備え、タンクの修理・改造・塗装を実施。検査棟ではタンクの気密・水張検査、内部研磨を行う。排水設備を強化し、水質汚濁防止法の特定事業場と同じ基準値で放水するなど、環境に配慮した施設設計を採用した。
構内の安全にもこだわっている。搬出入の車両は施設中央のゲートから入場し、事務所で受付した後、そのまま旋回してゲートアウトでき、左右の作業、保管スペースのトップリフター、リーチスタッカーとは交差しないような動線を引いた。
昨年は化学不況によりタンクコンテナの荷動きも低迷したが、回復の兆しが見え始めている。名港海運では「2024年問題」対策も含めタンクコンテナにかかわる多様なニーズを取り込み、輸出入、デポ、輸送手配も含めたワンストップサービスを提供していく考えだ。
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