カーゴニュース 2024年5月30日 第5246号
大郷運輸(本社・宮城県塩釜市、高橋利滋社長)は、2018年に新規参入した危険物倉庫事業が着実に拡大している。本社敷地内の危険物倉庫(1号倉庫)に続き、昨年から宮城県大郷町で危険物2号倉庫の営業を開始。仙台港地区、内陸部の2拠点となったことで、危険物の保管能力が増強されるとともに、輸出入貨物への対応と内貨の配送センター機能の両方に対応できる体制が整った。
仙台港の仮貯蔵ヤード運用開始に期待
同社は石油製品などのローリー輸送を主力としており、石油需要の将来的な減少が見込まれる中、新たな成長の柱とすべく危険物倉庫事業に進出。18年9月に本社敷地内で県内最大規模となる危険物1号倉庫(床面積約1000㎡、平屋建て)を開業した。
消防法危険物第2類、第4類に対応。仙台港からショートドレージの距離の立地を活かし、輸出入貨物を扱うため、庫内の約半分を保税蔵置場とし、バンニング・デバンニング作業が可能なバンステージを配備している。宮城県内に生産拠点を置く日用品メーカーが、製品の輸出拠点として同倉庫を活用しており、コロナ禍で一時的に取り扱いが落ち込んだものの、昨年末以降、回復が顕著で月間8本程度のバンニングを行う。
仙台港は危険物を積んだコンテナの「入港日当日搬入・当日搬出」という制約があったが、4月から、危険物の仮貯蔵ヤードの運用開始が決定。これにより仙台港での危険物の輸出入が増え、危険物倉庫の稼働率アップに寄与することが期待されている。
取り扱い貨物の種類も拡大しており、戸建て住宅向けのリチウムバッテリーの保管を開始。荷姿がケースの多品種小ロットの危険物の取り扱いも多く、ラベル貼りなどの流通加工にも対応。敷地内で危険物倉庫の増設も可能で定温化も視野に入れている。
危険物を含むリサイクルに拠点構想も
危険物倉庫事業の拡大に向け、昨年から宮城県大郷町で危険物2号倉庫の営業を開始。大郷運輸が従来から構内作業を請け負っていた、石油元売りメーカーの配送センターを譲渡されたもので、営業用危険物倉庫としての運営に切り替えた。
東北自動車道大和IC、三陸自動車道松島ICからのアクセスが良く、敷地面積は2万4315㎡。危険物倉庫(953㎡)と屋外危険物貯蔵所(8340㎡)で構成され、危険物第4類(2~4石)に対応する。
施設全体でドラム5500本の収容能力があり、危険物倉庫内には保管効率を高めるラックを導入。貨物の転落防止のための措置も講じている。主な取り扱い貨物は潤滑油などで、屋根付きの一般取扱所で詰め替え作業なども行える。
敷地面積に余裕があることから、危険物倉庫の増設も検討。危険物を含む太陽光パネルやEVバッテリーなどリサイクルの拠点として活用することも想定し、産業廃棄物収集運搬の許可申請も準備し、回収や処理場への運搬も含めた一貫物流の提供を目指す。
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