カーゴニュース 2024年5月30日 第5246号
藤原運輸(本社・大阪市西区、藤原輝之社長)は危険物倉庫事業に参入する。大阪市大正区に定温を含む危険物倉庫4棟を建設中で、9月末の竣工を予定している。同社は大阪港の港湾運送業の老舗であり、危険物の分野でも港運・陸運両部門や国際物流機能を組み合わせたワンストップサービスを提供していく考えだ。
危険物倉庫事業に参入、新たな分野にチャレンジ
同社は1935年の創業。港湾運送業、自動車運送事業、倉庫業、通関業、船舶代理店業、輸出入業務、工場内における貨物の運搬業・梱包作業および各事業に関連する業務を手掛け、阪神港エリアを中心に三重、横浜、福岡にも物流拠点を配備している。
大阪市大正区鶴町で運営していた鉄鋼関連の倉庫が老朽化していたため、3年前から建て替えを検討。これまでも案件が多く寄せられるなど、需要が旺盛な危険物倉庫を同社として初めて建設することとした。
同社によると「これまでの引き合いから、危険物倉庫が不足していることを肌身に感じていた。倉庫の建て替えにあたっては、鋼材倉庫や生活雑貨の倉庫も検討したが、新しい分野にチャレンジしたいと思い、危険物倉庫事業に参入した」という。
また、危険物倉庫を建てるのに最適な工業専用地域にあり、大阪港エリアでこうした用地が希少であることも建設を後押しした。港湾運送の機能を活かし、国内外を結ぶワンストップのビジネスモデルを構築する。
一部を保税蔵置場に、一般取扱所でコンテナ作業も
約1万㎡の敷地に危険物倉庫(約1000㎡)4棟と危険物一般取扱所を建設。おもに消防法危険物第4類全般の取り扱いを想定。4棟のうち3棟は常温で、このうち1棟は庫内を3分割できるようにし、後付けで空調を設置できる断熱設計となっている。
大阪港エリアでも希少となる定温危険物倉庫は2分割でき、消防法危険物第4類と5類に対応する。保管効率を高めるためにラックを導入し、ラック用フォークリフトを運用する。
港に近い立地を活かし、輸出入貨物を取り込むため、危険物倉庫の一部は保税蔵置場にする計画。危険物一般取扱所はドックレベラーを設置し、荷捌きやピッキングなどの作業を法令に基づいた形で行える。
危険物倉庫の建設で実績のある設計・施工会社、三和建設の提案を受け、倉庫等の大規模庇等の建築面積の緩和を活用し、4・9mの庇を確保。1mの嵩上げにより大雨による浸水リスクを下げ、非常用発電機を導入するなどBCP対策も強化した。
通関や国際輸送を含め一貫で請け負える体制
おもに輸出貨物をターゲットに据え、通関や国際輸送を含めて一貫で請け負える体制を整える。従来から、接着剤、塗料、潤滑油などの案件が多く寄せられており、原料系を含め幅広い商材を自営の危険物倉庫で扱っていく方針だ。
危険物倉庫でのピッキングや流通加工についても採算性を見極めながら検討。将来的には毒劇物の取り扱いも視野に入れ、運送部門においても危険物輸送の事業化を検討する。
藤原運輸では倉庫の建て替えにあたっては、危険物倉庫や冷凍冷蔵倉庫、天井クレーン付き倉庫など機能性を高めたものにリニューアルする考え。今春から、神戸市東灘区で日本GLPが開発した冷凍冷蔵倉庫を1棟借りするなど高付加価値倉庫の運営を推進する。
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