カーゴニュース 2025年9月25日 第5373号
国際物流のラストワンマイル ドレージ問題の解決に迫る!
東京港のコンテナターミナルで、ゲート前混雑解消をするためのシステム「CONPAS」の本格運用が始まっている。コンテナ搬出入の予約制とITの活用により、海上コンテナドレージ車両のゲートでの「荷待ち」の短縮が期待されている。ただ、海コンドレージ会社からは、予約枠が少なく予約が取りにくいことや、予約外の車両の待機時間が長くなっているなど運用改善を求める声も多い。
予約制参加登録ドレージ会社は346社に拡大
東京港の外貿コンテナ貨物取扱個数は増加傾向にあり、朝一番の配送を求める荷主が多数存在することから、配送日前日の夕方等の特定時間帯にコンテナ車両がコンテナターミナルに集中する傾向がある。このため、東京港周辺では交通混雑が発生しており、ゲート前の渋滞の深刻化が課題となっている。
そこで、東京港では車両の時間的分散化を図るとともに、事前荷繰りなど荷役作業を効率化することが可能な「予約制」の導入に着目。コンテナターミナルのゲート前の混雑の解消や海コンドレージ車両のターミナルの滞留時間短縮に向け、国土交通省が開発したCONPASを活用した予約制の取り組みを22年8月から開始した。
当初は参加者の習熟を図るため東京都トラック協会海上コンテナ専門部会加盟店社のみを対象として実施したが、23年度の第5期からは希望する全てのドレージ会社に開放。同年度には、予約制を利用したトラックの台数(予約本数)が延べ約2万台に増加した。また、24年度の第7期には参加登録海コンドレージ会社は346社まで拡大した。
今年度の第8期は、8月20日から大井1・2号ターミナルにおいてCONPASを活用した搬出入予約制の常時運用を開始。大井6・7号、青海4号は9月18日から10月17日までの平日20日間、中央防波堤外側Y1ターミナルでは10月27日から11月10日までの平日10日試験運用を実施する。
予約車は一般車と比べて待機時間を80%短縮
CONPASは、①搬出入予約(搬出入トレーラの分散・平準化)②PSカードの活用(搬出入票の提示等を省略)③コンテナがゲートに到着する前に搬入情報を事前照合④車両接近情報・予約情報の活用(事前にコンテナを取り出しやすい位置に移動)――によりコンテナ搬出入能力の向上が期待されている。
東京都の公表によると、24年度の第6・7期の試験運用を通じた平均ゲート前待機時間は、非予約車(一般車)と比較して予約車の方が短縮されており、最大で89・4分(80・7%)の短縮を実現した。一方、海コンドレージ会社からは、予約可能な本数(予約枠)が少ないうえ、予約できない車両の待機時間はむしろ長くなっているとの声が上がっている。
予約が取りづらく、一般車ゲートは混雑悪化
どういうことなのか――。ドレージ会社に聞くと、予約制を利用できる会社は限られてしまうという。予約が取り合いになっているため、ある程度スタッフがいる会社でないと予約を取ることが難しい。もっとも、予約のための人員を配置しているドレージ会社でも、「予約は取れて1日1、2本程度」と明かす。
予約は搬出入日の3営業日前(土日祝を除く3日前)の14時からゲート到着の直前まで可能だが、通関が切れていなかったり、他のターミナルでゲート待機にはまって予約時間に到着できないこともある。「ドライバー自らが携帯電話などで予約できるシステムであれば、地方の業者や中小事業者にも使いやすくなる」との指摘もある。
予約制を利用していない、あるいは利用したくてもできない一般車は、従来よりも待機時間が長くなっているという報告もある。予約専用ゲートを「増やす」形ではなく、既存ゲートの「一部を割り当てる」形で設置したため、一般車用のゲートの混雑が悪化しているもので、CONPASの運用による効果は予約車のみに限られているとの指摘もある。
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