カーゴニュース 2026年1月6日 第5400号
D 次期総合物流施策大綱は現在、有識者会議で検討が進んでいる。本来は25年中に提言書をまとめたいという方針だったが、国交大臣が公明党から自民党に交代し、方針の見直しもあったのか少しずれ込んでいる。2月にも提言書をまとめ、その提言書を閣議決定した上で、4月から新「物流大綱」が始まるというスケジュールになるようだ。
今回、新たにフォーカスされるのは国際物流の競争力強化。もうひとつは現行の物流大綱でも柱になっていた自動化・デジタル化のさらなる推進で、自動運転トラックの促進は大きな目玉になりそうだ。さらに、台風や地震など自然災害の多発・激じん化を受けてのBCP対策も柱になる。もちろん持続可能な物流が大前提であり、担い手不足をどうするかというテーマも依然とし重要項目だ。
有識者会議の事務局に国交省道路局も加わっていることもポイントのひとつだ。道路インフラが整備されない限り、ダブル連結トラックの普及や自動運転トラックの商用化は難しい。国交省もインフラ整備なくして物流改善は実現しないことはよく分かっているからだと思う。
B 新たな大綱が、「国際物流の競争力強化」にフォーカスしたことはうなずける。というのも、この5年間でグローバルサプライチェーンを取り巻く環境が大きく変わったからね。具体的には2点。ひとつは、自由貿易やグローバリゼーションが後退し、経済効率を追求してきたサプライチェーン戦略が見直しを迫られていること。2点目は、コロナ禍を経て越境ECが急拡大し、件数ベースで日本の輸入の9割のウェートを占めるようになったこと。規制のあり方も含めて、従来のBtoBの取引を前提とした施策だけでは対応しきれなくなっているように感じる。
F もはや物流を国内と国際で分けて考えることはできないということじゃないかな。
B 次期物流大綱の中で初めて「通関業」についての言及がなされるようだ。越境ECの急拡大により、麻薬など社会悪物品についてこれまでの税関の水際取り締まり体制では、リソース的にも限界が出てきた。社会悪物品の流入や脱税など違法行為の防波堤となる通関業者の重要性にスポットライトが当たり、適正な業務運営や経営の安定化を後押しする施策が必要だとの認識が高まった。今回、大綱の中で通関業者が取り上げられることになったのは、そうした背景がありそうだ。
通関業は財務省の所管であり、同じ物流業者でありながら、従来の大綱の議論の中では〝蚊帳の外〟だった。今回通関業界にヒアリングが行われたことで、長年の商習行だった関税等の立替問題についても「荷主と物流業者の取引上の課題」として周知できたことは、通関業界の念願が叶ったように思う。
また、これまで通関業務料金の価格転嫁について、その必要性は認識していたものの、業界の中では議論が難しい雰囲気があった。というのも、過去に航空貨物業界でカルテル問題があったため、業界の会合などで料金の話を口に出すことにきわめて慎重だった。ほかの物流業界団体が荷主への値上げ要請文書を正々堂々と発出していることに驚きを隠せない通関業者もいた。
今回、通関業界で人件費の高騰に価格転嫁が追い付いていないという問題が共有されたが、これはあくまでもスタートにすぎない。通関業界の取引に関しては、公正取引委員会が立替払いを独占禁止法上問題となるおそれがあるとの見解を示し、一定の効果はあったようだが、「トラック・物流Gメン」のような取り締まり組織はない。国交省所管の「トラック・物流Gメン」が、財務省所管の通関業者の荷主を取り締まることは難しいと思うが、これからは価格交渉に後ろ向きだったり、立替の解消に応じない荷主について通報や是正指導につなげられるような仕組みが必要ではないかと思う。「立替Gメン」の創設は現実的ではないかもしれないが、情報を収集して公取委に共有する「立替ホットライン」のようなものは可能ではないか。
D 今年1月1日から施行された取適法(中小受託取引適正化法)は、従来の下請法を改正・名称変更した法律だが、物流業務についても受託側が不利益を被らないように明記した。立替問題の解消にもつながることを期待したいね。
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