カーゴニュース 2026年1月6日 第5400号

公取委/中企庁
不適正な取引疑いで運送会社に530件指導

無償で運送業務以外の役務強要など

2026/01/05 16:00
全文公開記事 行政 トラック輸送

 公正取引委員会と中小企業庁は12月23日、運送事業者間の取引における下請法違反被疑事件の集中調査の結果を公表した。2025年4月以降、運送事業者間の取引に関する下請代金等に係る下請法違反被疑行為について集中的に調査を行い、運送事業者に対して、2件の勧告および530件の指導を行った。

 

 おもな違反行為のうち、「書面の不交付・記載不備」では、運送事業者が下請事業者に対して運送業務を委託する場合に、取引条件を記載した発注書面等を交付していなかった書面の不交付の事例が複数見られた。

 

 また、発注書面等を交付していた場合でも、荷待ち、積み込み・取り降ろし等の運送業務以外の役務を委託しているにもかかわらず、発注時に当該役務を「提供される役務の内容」として記載していなかった記載不備の事例が複数あった。

 

 「買いたたき」に関しては、昨今の労務費やエネルギーコスト等の上昇により、運送に係るコストが上昇しているにもかかわらず、運送事業者が、受託側の運送事業者と協議を行うことなく代金を据え置いていた事例や、受託側の運送事業者が代金の引上げを求めたにもかかわらず、価格転嫁をしない理由を発注書面等で受託側の運送事業者に回答することなく、代金を据え置いていた事例が複数あった。

 

 運送事業者が、運送業務以外の役務を運送業務と一体であるとみなして、「運送業務及びその他附帯する業務」といったように委託内容を記載したうえで、運送業務以外の役務について受託側の運送事業者と十分な協議を行わず一方的に代金を決定し、本来支払うべき運送業務以外の役務に係る代金を支払っていなかった事例もあった。

 

 「不当な経済上の利益の提供要請」では、運送事業者が発注時に委託内容として発注書面等に記載していないにもかかわらず、受託側の運送事業者に対して、無償で荷待ち、積み込み・取り降ろし等の運送業務以外の役務を行わせていた事例が複数あったほか、有料道路の利用が必要な遠距離運送業務で、有料道路の利用料金を受託側の運送事業者に負担させていた事例もあった。

 

 運送事業者が無償で運送業務以外の役務を行わせていた要因としては、受託側の運送事業者に支払う運送業務の対価に運送業務以外の役務の対価も含まれているとして、無償で行わせることが商慣習化していることがうかがえる。発荷主から運送業務以外の役務に係る対価が支払われていないことが、受託側の運送事業者に無償で当該役務を行わせている要因であることを挙げる運送事業者も多数みられた。

 

 これらの事案に対し公取委では、運送事業者に対し、取引条件を記載した発注書面等に運送業務以外の役務の委託内容を全く記載していなかった場合、荷待ち、積み込み・取り降ろし等の運送業務以外の役務が生じる時には具体的に明記するよう指導。発注書面等に「その他一切の附帯業務」といった記載をしていた運送事業者に対しては、役務の内容について運送業務以外の役務を明確にするよう指導を行った。

 

 運送事業者から一方的に代金の決定が行われていた場合や、金額の決定にあたり十分な協議が行われていなかった場合には、運送事業者に対し、受託側の運送事業者との価格協議を行う場を設けるようにすること、また、その際には昨今の労務費等のコスト上昇を考慮し、十分な協議を行った上で代金の額を定めるよう指導を行った。

 

 なお、2026年1月1日から施行される「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」(取適法)では、委託事業者の禁止行為として「協議に応じない一方的な代金決定」が追加されるため、委託事業者は中小受託事業者からの価格協議に応じない場合は取適法上問題となり得る。取適法では、適用対象となる取引に特定運送委託が追加され、発荷主から直接運送事業者に委託する運送も同法の適用対象となるため、発荷主および運送事業者の双方において法令遵守の徹底に取り組む必要がある。

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