カーゴニュース 2024年6月4日 第5247号
ヤマタネ(本社・東京都江東区、山﨑元裕社長)は、来年度(2026年3月期)からスタートする次期中期経営計画の成長戦略として、「物流」と「食」のシナジー推進を図る。連結子会社化した業務用食品卸ショクカイとの連携を通じて、食品事業におけるサプライチェーン(SC)の再構築に取り組むほか、コールド物流事業への本格参入を目指す。また、本社が所在する越中島地区の再開発プロジェクトを本格化させ、来年5月にグランドビジョンを公表する。
5月24日にオンラインで開催された決算説明会で、今月21日付で新社長に就任する河原田岩夫副社長(写真)が方針を発表した。。今年7月3日に創業100周年を迎える同社は現在、長期計画である「2031年ビジョン」に取り組んでおり、現中計である「ヤマタネ2025プラン」(23年3月期~25年3月期)は、その実現に向けた「種まき期間」に位置づけている。
中計最終年度にあたる今期は、今月にも横浜港の本牧ふ頭A突堤で建設を進めていた新倉庫が竣工する予定。4階建て・延床面積約1万7900㎡で、輸出入貨物の取り扱い拠点に加え、流通加工や小口配送などの幅広いニーズにも対応する。「集荷活動は計画通りに進んでいる」(河原田氏)という。
また、食品事業では昨年10月にグループ化したショクカイとのシナジー創出に注力。冷凍食品の企画開発に強みを持つ同社と連携して、新商品開発や販路拡大に取り組んでいる。具体的には、大手食品量販店向けに冷凍おにぎり商品を提案したほか、大丸松坂屋が手がける冷凍グルメ定期便への商品提供などが実現した。
来期からの次期中計では、ヤマタネの主力事業である物流と食品の両事業での業域拡大を図り、さらなるシナジーの創出を図る。「2024年問題」への対応が求められる食品事業のS Cを再構築を進めるとともに、そこで得られた知見を横展開していくほか、コールド物流事業への本格参入にも取り組む。その一環として、今年4月に組織改編で物流本部内に「SCM推進部」を新設した。
このほか、越中島地区の再開発プロジェクトでは、今年4月に経営企画部内に「越中島開発推進室」を新設。現在、外部の専門家などとも連携しながら計画やスケジュールの策定を進めており、来年5月に再開発の方向性などをまとめたグランドビジョンを公表する予定。
24年3月期はM&A寄与で大幅増収
同社の24年3月期連結業績は、売上高645億1200万円(前期比26・3%増)、営業利益34億8900万円(2・8%減)、経常利益31億8400万円(9・0%減)、当期純利益24億4200万円(13・6%増)。売上高は期中にM&Aしたショクカイの業績が寄与したほか、物流事業における海外引越しの取り扱い増加などが貢献。一方、利益面では物流事業のおける外注コストの増加やM&Aに伴う費用計上などが利益を圧迫した。純利益は遊休不動産の売却益で増益となった。
セグメント別では、物流部門が売上高244億100万円(0・2%増)、営業利益23億200万円(7・7%減)。食品部門は売上高341億4300万円(62・9%増)、営業利益7億8300万円(前期比約10・5倍)となった。
25年3月期の連結業績予想は、売上高765億円(前期比18・6%増)、営業利益35億円(0・3%増)、経常利益33億1000万円(3・9%増)、当期純利益26億4000万円(8・1%増)の増収増益。ショクカイの業績が通年で寄与する。「ヤマタネ2025プラン」で掲げた数値目標については、売上高、営業利益、EBITDAなど全部門で達成する見込み。
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