カーゴニュース 2024年6月25日 第5253号
日本電気(NEC、本社・東京都港区、森田隆之社長CEO)はこのほど、物流や物流システムに関するリサーチレポートを公表した。それによると、配送計画の立案は人手対応が4割近くにのぼる一方、ドライバーの労務管理については6割近くがシステム対応を行っていた。
勤務計画システム、公平なスケジュール作成重視
2024年3月4日~6日の3日間、物流に携わっている人を対象に調査を行った。有効回答者数は300人だった。
配送計画の立案方法では、「人手により立案している」が39%と最も高く、約4割を占めていた。次いで「一部を輸配送管理システム(最適化エンジン等)で自動化している」が36%だった。業種別では、運輸・倉庫業で「人手により立案している」が5割を超え、他の業務に比べて高くなった。従業員規模別にみると、従業員数100人未満では、「人手により立案している」が58%と半数を超えた。5000人以上では、「ほとんど輸配送管理システム(最適化エンジン等)で自動化している」の割合が2割を超えたが、「人手により立案している」も4割を超えている。
ドライバーの労務管理における勤務計画の作成は、「一部をシステム化して勤務計画を作成している」が最も高く41%だった。「ほとんどシステム化して共同配送を実施している」の16%を合わせると57%とシステム化は6割近くなる。業種別では、製造業で「人手で勤務計画を作成している」が17%と他の業種より低く、システム化が進んでいる傾向が見られる。従業員規模別では、従業員数100人未満では「人手で勤務計画を作成している」が最も高く42%を占めた。従業員数5000人以上では「ほとんどシステム化して勤務計画を作成している」が33%と高い割合となった。
勤務計画をシステムで作成する際に重視するポイントは、「不公平なシフト割り当てや過度な労働時間を避け、公平にスケジュールを作成できる」が最も高く54%。従業員規模別では従業員数5000人以上で「スケジュール変更や休暇リクエストの通知、コミュニケーション履歴の追跡などの機能がある」が48%を占め高い傾向にある。
WMS、「マテハン連携」などで満足度低く
共同配送の実施状況は、「一部をシステム化して共同配送を実施している」が最も高く34%を占めた。「ほとんどシステム化して共同配送を実施している」の19%を合わせると53%となり、システム化率は5割を超えた。業種別では、製造業と卸業で「ほとんどシステム化して共同配送を実施している」が2割を超え、他の業種より高い傾向。従業員規模別では、従業員数1000~4999人、5000人以上はいずれも「ほとんどシステム化して共同配送を実施している」が約3割と高かった。
倉庫・在庫管理システム(WMS)の導入状況は、導入済みが48%とほぼ半数だった。また、導入を検討中および導入意向のある割合は30%だった。従業員規模別では、従業員数100~999人、5000人以上で約5割が導入し、1000人~4999人の導入は64%と最も高くなった。WMSの満足度は「リアルタイムな在庫管理」の満足が56%と最も高く、次いで「複数荷主(名義)管理」が50%で続く。満足度が低かったのは「マテハン連携」や「スマホやSIM対応ハンディを使った屋外・外部倉庫での入出荷作業」で40%を割った。
物流DX化の推進レベルは、現在のレベルで「レベル3=一部の物流機能(検品システムなど)を外出ししている」が23%で最も高い。「レベル4=物流機能は、基幹システムとは別システム(WMS、TMSなど)にしている」も18%と2割近い。目指すレベル(3年以内)は、「レベル5=リアルタイムな実績データを使ったKPI指標分析・見える化を実施している」が17%で最も高かった。目指すべきレベルへ引き上げるために解決すべき課題は、「物流状況の見える化や実績データの蓄積」が19%で最も高く、「物流業務の統一化」が17%で続く。業種別では、製造業と小売・サービス業で「物流状況の見える化や実績データの蓄積」が20%台で高かった。
「2024年問題」の取り組みは「やや行っている」が37%で最も高く、「行っている」を合わせると59%となった。一方「行っていない」「あまり行っていない」を合わせるとまだ4割近くを占めている。業種別では、運輸・倉庫業の「行っている」が36%と最も高く、従業員規模別では、100人未満で「行っていない」が32%と最も高くなった。
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