カーゴニュース 2024年11月19日 第5293号
JR貨物(本社・東京都渋谷区、犬飼新社長)の2025年3月期第2四半期の連結業績は、売上高943億1500万円(前年同期比4・4%増)、営業損失14億5000万円(前年同期は19億2600万円の損失)、経常損失18億2200万円(10億9600万円の損)、純損失24億800万円(7億1500万円の損失)となった。上半期の輸送量はほぼ前年並みとなったが、今年4月に実施した鉄道基本運賃の改定効果が寄与し売上高は増収。費用面では電力費が前年比で25億円程度増加したものの、増収の伸びが上回ったことで、営業損失は4億7600万円改善した。また、経常損失以下は輪軸組み立ての不正行為に関連する特別損失5億9900万円を計上したほか、前期にあった移転協力金受け取りがなかったことで損失幅が拡大した。
セグメント別では、主力の鉄道ロジスティクス事業は売上高850億円(5・3%増)、営業損失65億円(74億円の損失)。上期の輸送実績は、「2024年問題」を背景にした鉄道へのシフトの動きがあったものの、夏場の台風などによる輸送障害や輪軸不正に伴う輸送力の減少などから、輸送量は0・4%減の1255万6000t(コンテナ、車扱の合計)となった。一方、4月に実施した鉄道基本運賃を6%値上げした効果が顧客にも浸透し、売上高は増収で着地した。
不動産事業は売上高97億円(3・6%減)、営業利益48億円(7・0%減)の減収減益。福岡市長浜地区の商業施設が8月に開業したものの、期中に分譲マンションの引き渡しがなかったことから前期実績を下回った。
なお、JR貨物単体での鉄道事業は、売上高676億円(4・9%増)、営業損失74億円(82億円の損失)だった。
通期予想は下方修正も黒字確保を計画
通期予想では、自然災害による減収や輪軸不正に伴うコスト増などを織り込んだことで、8月に発表した予想値を下方修正したものの、各利益は黒字化を見込む。売上高1996億円(5・9%増)、営業利益12億円(前期は47億円の損失)、経常利益4億円(42億円の損失)、純利益20億円(35億円の損失)を計画。また、JR貨物単体では、売上高1641億円(7・5%増)、営業損失5億円(67億円の損失)、経常損失14億円(62億円の損失)、当期純利益10億円(47億円の損失)を見込んでいる。
12日に本社で会見した篠部武嗣取締役兼常務執行役員経営統括本部長は、上半期の輸送動向を振り返り「8月までは鉄道シフトの手応えを感じながら順調に進んできたが、台風などの災害影響と輪軸不正で終盤に大きく落ち込んだ」と述べた。下期以降については「10月は編成減車の影響を懸念していたが、計画した数値を上回ることができた。『2024年問題』の需要は十分にあると考えている」と述べ、下期での輸送量拡大に期待を示した。
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