カーゴニュース 2024年11月26日 第5295号
日本通運(本社・東京都千代田区、竹添進二郎社長)は20日、オンライン会見を開き、2024年12月期第3四半期(7~9月)の航空事業と海運事業の業績を発表した。航空事業の売上高は前年比11・6%増の548億円となったほか、日本発の輸出重量が2ケタ増になるなど荷動きの回復が進んだ。海運事業も輸出・輸入と国内(内航)のいずれも増収。海運輸出が前年同期を上回るのは22年4~6月期以来となった。航空・海運の業績概況は〈表〉の通り。
航空は輸出・収入とも2ケタ増、輸入は横ばいに
3Qの航空事業の輸出重量は前年同期比12・4%増の5万4514tとなり、売上高も18・7%増の301億円と好調。半導体、電機・電子、自動車関連を中心に荷動きの回復基調が継続した。
方面別では、欧州向けを除く各方面で前年を上回り、東アジアと南アジア向けは2ケタ増となった。欧州向けは船便の遅延に伴う航空シフトがあったものの、前年にあった北欧向け自動車関連の大型案件の反動により減少。米州向けは半導体、自動車関連が堅調に推移した。
会見で執行役員・関東甲信越ブロックフォワーディングビジネスユニット副ユニット長の金森祥之氏は「輸出重量は回復基調が続いている。10月も北米向け自動車関連の荷動きが旺盛で物量は増加している」と述べ、4Q(10~12月)も増収となるとの見通しを明らかにした。
輸入件数は前年同期比で横ばいの9万1346件。序盤の7月には26ヵ月ぶりに前年超えとなったものの、その後小幅な増減が続いた。電子機器や自動車関連の出荷があったものの、半導体関連の需要が伸び悩んだ。生鮮品もサーモンの数量が回復した一方、マグロが低迷。EC・一般消費財も弱含みで推移した。
国内航空貨物の売上高は2・1%増の169億円。取扱数量は販促品、携帯電話関連、保険関連帳票などが低調に推移したが、マイナ保険証関連や社内便、パソコン関連などが好調だった。生鮮品はマグロなど水産物を中心に増収。国内航空運賃は羽田発を中心に高水準で推移しており、増収を下支えした。
海運は輸出回復が寄与し、累計の減収幅が縮小
3Qの海運事業は、輸出、輸入、国内の売上高が増収となり、1~9月累計の減収幅が縮小した。とくに輸出の売上高は19・3%増の211億円となった。日本発NVOCCの輸出数量は1・8%増の5万7424TEU。米州と東アジア向けが増加した一方、欧州と南アジア向けは減少した。品目では自動車・部品が微減となったが、日用雑貨やアパレル、電気電子、化学品の荷動きが活発だった。日本向けNVOCCの輸入量は8・1%減の4万9396TEUとなり、全エリアで前年を下回った。
執行役員・関東甲信越ブロックフォワーディングビジネスユニット長の安藤恒夫氏は「輸出が前年同期を上回るのは22年4~6月期以来となり、1~9月累計の減収幅が縮小した」と説明。4Qの海上運賃については「北米東岸の港湾ストライキの懸念などから、運賃上昇が想定される」と見通しを示した。
コンテナターミナル業務など港湾運送の売上高は、3・5%増の171億円。数量はターミナル業務で青島航路の増加があったが、日韓・日中航路で台風によるスケジュール調整、抜港などがあり、全体では減少傾向だった。海外引越しの売上高は19・7%増の48億円と好調だった。
内航海運の取扱数量(12ftコンテナ換算)は、東京~北海道航路が900個減の5万4700個、東京~九州・瀬戸内航路が1800個増の2万9600個。荷動き自体は堅調だったが、既存顧客が中心であり、「2024年問題」によるモーダルシフトの機運の高まりは実感できない状況だという。
購読残数: / 本
恐れ入りますが、ログインをした後に再度印刷をしてください。