カーゴニュース 2024年12月3日 第5297号
国土交通省、経済産業省、農林水産省は11月27日、5月に公布された改正物流法が定める荷主・物流事業者に対する規制的措置の基本方針や、企業が行う物流関連の改善活動に対する国の判断基準や規制的措置の対象となる特定事業者の指定基準を公表した。
国が定める基本方針は、トラック運送の効率化に向け、2028年度までに5割の運行で、1運行当たりの荷待ち・荷役時間を計2時間以内に削減し、5割の車両で積載効率50%を実現(全体の車両で44%相当)するとした。平均すれば荷待ち・荷役時間をドライバー1人当たり年間125時間短縮することになる。その実現に向け、荷主と物流事業者は、積載効率の向上、荷待ち・荷役時間の短縮に努力義務を課す。
集配業務を行うドライバーへの負担軽減も重点項目とし、再配達の削減や多様な受け取り方法の普及・促進を図るとともに「送料無料」表示を見直す。さらに、返品の削減を推進し、欠品に対するペナルティを見直す。
荷主や連鎖化事業者(フランチャイズチェーン本部)、トラック、鉄道、港湾運送、航空運送、倉庫など物流事業者には物流効率化に取り組むよう努力義務を課すが、各社の取り組みに対する国の判断基準は、昨年6月に政府が策定した「物流革新に向けた政策パッケージ」が提示した改善項目のうち、①積載効率の向上等②荷待ち時間の短縮③荷役等時間の短縮――の3点を重点的に掲げた。施行前には判断基準についての解説書を策定する予定。
規制対象となる特定事業者は、全体への寄与度が高いと認められる大手荷主・物流事業者を指定する。具体的には、特定荷主・特定連鎖化事業者は、取扱貨物の重量が年間9万t以上の企業とし、上位3200社程度をカバーする。特定倉庫事業者は、貨物の年間保管量70万t以上で上位70社程度を想定する。特定貨物自動車運送事業者等は、保有車両150台以上の規模で、上位790社程度を対象とする。そのほか、特定荷主・特定連鎖化事業者は役員クラスの「物流統括管理者(CLO)」を選任することを義務付けた。
基本方針に基づく企業の努力義務や国の判断基準は来年4月に施行し、判断基準に関する調査・公表も行う。特定事業者の指定と、特定事業者が行う中長期計画の提出・定期報告、物流統括管理者の選任は26年4月に施行する。
購読残数: / 本
恐れ入りますが、ログインをした後に再度印刷をしてください。