カーゴニュース 2025年1月14日 第5307号
運輸労連(全日本運輸産業労働組合連合会、成田幸隆中央執行委員長)は7日、都内で新春交歓会を開催し、労働組合関係者や政界、行政、物流企業などの関係者が多数出席した。
5年ぶりの開催となった会の冒頭で挨拶した成田委員長は「2024年は私たちトラック運輸産業にとって、後に振り返った時に大きな転換点となる年だった。しかし、『2024年問題』で世間の注目を集めたものの、トラックドライバーの労働環境を改善することが取り組みの本質であるにもかかわらず、貨物が運べなくなることばかりが注目され、そのことを〝問題〟だと言われることに対し、違和感を覚えたのではないか。物価高による国内消費の不振などもあり、国内貨物輸送量が下振れしていることから、物流の現場ではこれまでのところ予想されたような混乱は起きていないが、時間外労働の積算は3月末までであり、年度末に向けて注視していく必要がある」と述べた。
25年については「昨年の通常国会で成立した改正物流法や『労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針』などを十分活用し、労使一体となって取り組みを進めていくことが重要だ」とした上で、「物流効率化と賃金水準アップを含めた労働環境改善をセットに実現していくことが不可欠になる」との認識を示した。また、「ビジネスでは、付加価値の創出が大事だが、付加価値は『価値』の上に『付加』がある。『労働』や『物流』に価値があるということを、私たち自身がしっかり再認識し、自信を持って適正料金・運賃を収受していくことに労使を挙げて取り組んでいきたい。守るべき部分をしっかり守りながら、蛇のような柔軟性をもってしなやかに乗り越えていきたい」と抱負を語った。
交歓会には全日本トラック協会の坂本克己会長も出席し、「7年前の18年に、労働組合の皆さんと一緒になって議員立法による法律をつくったが、ドライバーの苦労はいまだ報われておらず、道半ばにある」と振り返った上で、「今年は再び労働組合とタッグを組み、やらなければならないことをやっていく。ドライバーが笑顔で仕事に携われるよう命を懸けて頑張り抜く」と述べ、事業更新制の導入を柱にした新たな議員立法を次期通常国会に提出していく考えを示唆した。
会にはこのほか、日本労働組合総連合会(連合)の芳野友子会長、運輸労連・政策推進議員懇談会の海江田万里会長、国土交通省の木村大審議官(物流・自動車局担当)が出席し、祝辞を述べた。
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