カーゴニュース 2025年7月3日 第5352号
日本自動車ターミナル(JMT、本社・東京都千代田区、黒沼靖社長)は6月27日に開催した定時株主総会後に記者会見し、今後の事業方針について語った。黒沼社長(写真)は、板橋トラックターミナル南側の再開発について「100年企業を目指す当社にとって極めて重要なプロジェクトであり、開発に向けた時間軸や総投資額、スペックなどを鋭意検討している」と述べた。また、大田区平和島地区で自動運転トラックの一般道での自動走行について検討が開始されたことに触れ「主役である物流が変わっていく時に、それを支える物流拠点が旧態依然のままではいけない。実現までには様々な課題があるが、取り組まなければならない課題だと思っている」との認識を示した。
板橋TTではこのほど、特積み事業者向けに2棟(東棟、西棟)の2層式バースが完成したことに伴い、敷地南側に約5万㎡の開発用地が生まれた。黒沼社長は「当社にとって新たな経営資源であり、そこにどのような投資を行っていくかは、100年企業を目指す当社にとって極めて重要なプロジェクトだ」と述べ、着工時期や投資規模などは鋭意検討中だとした。施設開発の方向性については「荷主企業をはじめとする多様なお客様に利用してもらうためには、同じ敷地内に輸送事業者がいることや、流通業務団地内に立地するというメリットを活かし、使い勝手の良い高機能型の物流施設を整備していかなければならない。また、当社のトラックターミナルは東京都から災害時の広域輸送基地に指定されており、有事対応機能をさらに強化していく必要がある。そうした複合的な要請をかなえつつ、新たな開発手法の導入も検討しながら、適時適切に進めていきたい」と述べた。
また、レベル4自動運転トラックの実現に向け、T2や東京都流通センター(TRC)、大田区とともに平和島地区の一般道における自動運転トラックの受け入れに向けた検討を開始したことについて、前向きに取り組む姿勢を強調した。「我々はあくまで物流事業者の活動を支える役割だが、物流拠点は物流の要として重要な機能を担っている。トラックターミナル内に自動運転に対応した機能を備えるためには様々な課題があるが、取り組まなければならないテーマだと考えている。主役である物流が変わっていく時に、それを支える物流拠点が旧態依然のままではいけない。目指すべき方向性と進め方のアプローチのバランスをとりながら、検討を進めていきたい」と語った。
なお、役員人事では、常勤監査役の榎本雅人氏が退任し、後任として東京都監査事務局だった小林忠雄氏が就任した。
24年度決算は増収増益に
同社の25年3月期業績は、売上高が前期比1・9%増の113億7700万円、経常利益が13・0%増の26億6000万円、当期純利益が13・6%増の18億5800万円となり、増収増益だった。売上高は荷扱場や配送センターの稼働率が上昇したことで増収となった。一方、固定資産税の増加などにより売上原価が増加したが、施設の修繕工事の見直しなどにより利益を確保した。
部門別の売上高は、トラックターミナル事業が34億5900万円(前期比2・2%増)、配送センター事業が59億3000万円(2・1%増)、その他附帯事業が19億8700万円(0・7%増)となった。
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