カーゴニュース 2025年8月12日 第5363号

JILS/ロジスティクス大賞
TDBCとtraevoが大賞受賞

ミスミG本社が準大賞、花王とクボタも選出

2025/08/12 07:00
全文公開記事 荷主・物流子会社 セミナー・イベント 団体

 日本ロジスティクスシステム協会(JILS、大橋徹二会長)は5日、2025年度の「ロジスティクス大賞」の各賞を決定した。同賞はロジスティクスの推進に向けて優れた実績をあげた企業を表彰するもので、42回目となる今回は大賞と準大賞、技術革新特別賞、社会性特別賞を各1事例ずつ、計4事例〈表〉を選出した。

 

 大賞には運輸デジタルビジネス協議会(TDBC)とtraevoによる「共同輸送データベースの普及によるフィジカルインターネットの実現に向けて」が選ばれた。この取り組みでは、共同輸送データベース「traevo(トラエボ)」を活用。物流情報の可視化・共有を通じて、業種や業態を超えた複数企業による共同輸送や帰り便の確保、マッチング機能の実装など、物流における非競争領域の協調を推進した。フィジカルインターネット(PF)の社会実装に向けた基盤整備として、国際物流やカーボンニュートラルといった社会課題の解決も期待される。物流分野における革新的な共創モデルの提示として、他産業への波及も期待されることが評価され、今回の大賞受賞となった。

 

 準大賞にはミスミグループ本社による「機械部品業界のサプライチェーン在庫可視化によるロジスティクス最適化」が選ばれた。ミスミグループが構築したサプライチェーン可視化プラットフォームにより、受発注や在庫、輸送の状況をリアルタイムで統合管理することで、機械部品業界における納期遵守率の向上とリードタイムの大幅な短縮を実現。業界特有の多品種・少量・短納期という要請に応えつつ、需給変動に柔軟に対応する仕組みを自社内だけでなく取引先全体に展開して構築しており、物流改革だけでなく調達から生産までの統合的な最適化を志向している点が評価された。

 

 技術革新特別賞には、花王による「デジタルデータ・先端技術を活用した完全自動化倉庫実現によるドライバー・作業員不足への対応」が選ばれた。花王が推進する自動化倉庫プロジェクトでは、ロボティクス、IoT、WMS(倉庫管理システム)などの先端技術を活用。洗剤や化粧品といった生活消費財の物流において高度な自動化を実現し、深刻化するドライバーや倉庫作業員の人手不足に対応するだけでなく、作業の標準化や効率化、省力化によって品質と安全性の向上にも寄与している。

 

 社会性特別賞には、クボタによる「複数民間企業連携による東京港オフピーク輸送トライアルプロジェクト」が選ばれた。クボタが主導した東京港におけるオフピーク輸送トライアルでは、東京港の混雑を回避する夜間輸送や午前中搬出入へのシフトにより、待機時間の短縮・輸送効率の向上・温室効果ガス排出量の削減など、複数の効果を実証した。特に荷主企業と物流企業の連携による制度・業務・意識面を含む多角的なアプローチは、持続可能な運用の実装可能性を見据えた枠組みとなっており、今後の継続実施や対象企業の拡大によって、社会的課題の解決に資するモデルとしての展開が期待されるとして高く評価された。

 

 なお、表彰式と受賞記念講演会はベルサール虎ノ門で開催される「ロジスティクス全国大会2025」の2日目(10月17日)に行われる。                 

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