カーゴニュース 2025年7月3日 第5352号
パナソニックコネクト(本社・東京都中央区、樋口泰行代表取締役)は6月30日、事業説明会を開催し、物流現場などの自動化を支援する新サービス「ロボット現場導入サービス」の提供を同日から開始したと発表した。ロボット関連企業12社と連携し、人とロボットの協調を支援する「システム連携サービス」の展開を開始したほか、複数メーカーのロボットや機器を一括で制御できる「ロボット制御プラットフォーム(PF)」の提供を10月に予定する。
「ロボット現場導入サービス」では、倉庫などの物流現場へのロボット導入で課題となっている導入企業側の知見不足や、導入後の変更・保守を担う人材の不足のほか、ロボットSler側における顧客現場の制約などにより横展開が難しく業務を標準化できない状況などを解決するソリューションを提供する。説明会に出席したパナソニックコネクトシニア・ヴァイス・プレジデントCTOマネージングダイレクターの榊原彰氏はメインのターゲット層として「精緻な作業が不要な倉庫や生産現場などを想定しており、おもに中小企業向けに展開を予定する」と語った。
提供するソリューションのうち「ロボット制御プラットフォーム」は、複数メーカーのロボットや機器を同一インターフェースからの一元制御を可能にする。これにより、柔軟なロボット変更を実現するほか、SIer側はスキルの平準化によって多くの件数に対応することが可能となる。
また、動作や検出など、機能ごとに分かれたブロックを組み合わせることで、ノーコードかつ手軽にロボットの動作を作成できるビジュアルプログラミング機能を搭載する。3Dシミュレーションによるプレビュー機能により、プレビュー上でロボットの動きの確認が可能。企業ごとの仕様や要件変更への対応も容易となる。ピッキングや移動など使用頻度の高い動作はテンプレートブロックが用意されており、ロボット導入のハードルを下げることに寄与する。同PFはすでにパナソニックコネクトの6拠点でロボットの早期導入が行われている。
「システム連携サービス」は「ロボット制御プラットフォーム」とパナソニックコネクトの子会社であるBlueYonderなどが提供するWMS(倉庫管理システム)などの上位システム、自動倉庫などの連携を実現するもの。有機的な連携により、自動倉庫や人、ロボットに対し、上位システムが最適なタスクをリアルタイムで割り振ることができる。今後は戦略パートナーであるラピュタロボティクス(本社・東京都江東区、モーハナラージャー・ガジャンCEO)と協働して、同社の自在型自動倉庫「ラピュタASRS」と「システム連携サービス」「ロボット制御プラットフォーム」を連携した共同ソリューションを開発し、10月に提供を開始する。
ロボット関連企業12社と連携、今後もパートナー拡大へ
パナソニックコネクトでは今後、自動化を検討する企業が現状の運用についての質問に答えると、自動化の可否や投資対効果を即時に可視化し、自動化検討や経営判断を支援する「工程自動化支援サービス(仮称)」の展開も予定。同サービスと「ロボット制御プラットフォーム」を組み合わせることで、企画から実稼働までのロボット導入工数を約50%削減できるという。さらに、生成AIの活用による制御プログラミングの自動化も予定する。
なお、今回同社が連携したロボティクス関連パートナーは、ラピュタ、SmartOne、T-ROBO、オリックス・レンテック、TechShare、ミカサ商事、AUBO ロボティクス、Dobot Japan、Elite Robot Japan、ファナック、FAIR Innovation (Suzhou) Robot Systems Co., Ltd.、Universal Robots A/Sの12社。SaaSビジネスユニットダイレクターの牛島敏氏は「今後も連携先を拡大していき、たとえばロボットSlerでは、国内企業の3分の1から半数ほどと連携できるよう取り組んでいく」と意欲を示した。
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