本社第二共配センター外観

カーゴニュース 2025年7月3日 第5352号

若松梱包運輸倉庫
冷凍自動倉庫併設の3温度帯センター竣工

DC化で安定供給と積載率向上に貢献

2025/07/03 07:00
全文公開記事 倉庫・物流施設 コールドチェーン

 若松梱包運輸倉庫(本社・石川県金沢市、江田修一社長)は6月27日、石川県白山市で「本社第二共配センター」の開所式を開催した。北陸最大級の冷凍自動倉庫を併設した3温度帯(冷凍、冷蔵、常温)センターで、同社10ヵ所目の拠点。将来的な伸びが予想される冷凍品をはじめ温度管理が必要な商品の保管キャパシティーが大幅に増強され、地方でのDC(在庫型センター)化ニーズに対応する。メーカーは幹線輸送をDCへの計画的な在庫転送にすることで物量を平準化でき、安定供給体制の構築やトラックの積載率の向上につながる。

 

“在庫転送便”による計画運行へと転換

 

 若松梱包運輸倉庫はこれまで、北陸エリアを中心としたTC(通過型センター)を主力に事業を展開してきた。TCの活用は日々の配送の迅速化や在庫コストの低減を図ることができ、タイムリーな業務対応が可能になる一方、地方都市へ輸送する際には需要量によっては積載率が低下してしまうことが従来から課題となっていた。

 

 トラックドライバーの労働時間規制が強化される「2024年問題」をきっかけに、規制に抵触するリスクのある長距離輸送の車両手配はとくに難しくなっており、また、物量の増減によって車両台数の調整がうまくいかなったり、積載率が安定しないなど、効率的な配車や運行が難しい状況が続いていた。

 

 こうした中、2022年度から、F―LINEを中心にニチレイフーズ、味の素冷凍食品、ニッスイの各社の協力により、地方における在庫拠点の設置によって、車両が確保できないなどの物流リスクの軽減と、安定供給体制の確立を目指す取り組みがスタート。これを受け、若松梱包運輸倉庫として冷凍対応のDC機能を備えた新センターを計画した。

 

 新センターでは主要商品を在庫化し、幹線便による“都度対応型”の輸送から、“在庫転送便”による計画運行へと転換することにより、幹線車両の配車リスクの低減、積載量の向上、CO2排出量の削減を含めた環境負荷の低減、物流コストの最適化など、持続可能で安定した物流体制の構築を進めていく。

入庫(上)と出庫のデモンストレーションを実施

冷凍自動倉庫は7644パレット収容可能

 

 新センターは延床面積が約1万3982㎡。冷凍自動倉庫(村田機械)の収容数は7644パレットで棚高は150㎝、180㎝、120㎝。1階は冷凍、チルドの荷捌きスペース、ピッキングした商品の仮置きスペースとなっており、接車バースは計17バース(大型6、中型11)でリーファーコンテナ用のドックレベラー1基を設置している。

 

 2階と3階は冷凍、チルド、常温の平置きスペースで、垂直搬送機を2基(マイナス25℃、5℃)、荷物用エレベータ1基(5℃)を装備。環境面では「BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)」の最高ランクである「ZEB」認証を取得。自家消費型の太陽光発電システムを導入し、冷凍設備には自然冷媒(アンモニア/CO2)を採用した。

 

 「本社第二共配センター」の新設は、従来のTC中心から、DCにも対応していくことによって輸送効率の向上が期待できるとして、25年4月1日付で荷主であるF―LINEとともに物流総合効率化法の適用を受けた。トラック予約システムの導入や高規格バースの設置などにより手待ち時間の削減にも取り組む。

 

有事の際には日本海側でバックアップ機能

江田社長

 開所式後の記者説明会で江田社長は、新センターについて「北陸エリアの安定供給を目指すことが最重要。在庫拠点として日々の波動を吸収し、メーカーの在庫転送の積載率向上につなげる。BCPの観点からは、日本海側でそれなりに規模が大きいセンターであるため、太平洋側で有事があった際にはバックアップ機能を担える」と説明した。

 

 在庫化することのメリットとして「従来、メーカーは得意先からの受注をベースに日々スルー型で対応していたが、波動があった時にトラックを集められなかったり、積載率が低下するという課題があった。冷凍車のドライバーの数が減っていく中で、車両を有効活用するためにも在庫化が望ましい」と述べた。

 

 また、今回同社の冷凍倉庫としては初めて自動倉庫を採用したことに関し、「冷凍倉庫のような過酷な環境下で働く人は減っていくと予想される。平置き倉庫の場合、在庫のロケーションまでフォークリフトで荷物を搬送する人手がかかるが、自動倉庫にすることで省力化・省人化できる」と語った。

続きを読む

購読残数: / 本

この記事は登録会員限定です
この記事は有料購読者限定記事です。
別途お申し込みをお勧めします。
第一倉庫株式会社 日本通運 uprのピーアール。 鉄道貨物協会 第一工業株式会社 アライプロバンス ジェイエスキューブ プロテクティブスニーカー協会 TUNAG for LOGISTICS センコン物流 富士物流のホームページにニュースを提供中!! ゼネテック 日通NECロジスティクス提供 物流用語集