カーゴニュース 2025年9月18日 第5372号
ダイフク(本社・大阪市西淀川区、下代博社長)は10日、米国での成長戦略と国内で新設される先端技術開発の拠点について東京本社で会見を行った。
同社は27年中期経営計画における連結売上高8000億円の達成に向けて、期間中に800億円の戦略投資枠を設定している。その中で、今期はインドの新工場、滋賀事業所の新工場棟などを竣工しているが、これらに続き米国インディアナ州のイントラロジスティクス工場に新工場棟を増設し、10月から稼働を開始する。投資額は約50億円で新棟を加えた延床面積は約5万5000㎡となる。同工場は物流センターや製造工場に向けてコンベヤやソーター、自動倉庫などを提供しているが、今後はより生産効率化を進めることで、従来比2倍の生産能力を見込んでいる。これにより、増加する米国の自動化ニーズに地産地消で迅速に応え、北米におけるシェアの拡大を目指していく。
会見の中で寺井友章副社長は「米国製造業への投資拡大の政策や人手不足、人件費高騰などにより自動化のニーズはさらに高まっている。また、同工場に代表される通り現地生産を進める当社には関税の影響も軽微だ」と背景などを説明した。米国での成長について下代社長は「製造業や流通業、ECなど幅広い業種での拡大を目指していく。その中で、当社の強みのひとつである、コンサルティングからアフターまでの一貫体制によるサービスで差別化につなげていく」と戦略を示した。
国内はラボ新設で先端技術開発を加速
国内ではAIやロボットなどの先端技術の開発と人材育成を加速させる。その拠点となる「東京Lab」(東京都港区海岸・約1000㎡)を26年1月に、「京都Lab」(京都市左京区・約900㎡)を25年11月にそれぞれ開設する。両ラボ合計で140人体制を計画しており、今後は技術系の人材約50人を新規採用していく方針だ。
人材採用について寺井副社長は「ソフトウェア開発に特化した人材が中心になるだろう。例えばロボットハンドの細かな動きの制御や、AIによる画像処理など、より先進的な技術とシステムを構築出来る人材を求めている」と話した。
今後「東京Lab」では主にAIやロボットなどの先端技術や新規事業に向けた技術開発を進めるとともに、人材交流や産学連携、外部パートナーとの協業も進めていく。「京都Lab」ではマザー工場である滋賀事業所と連携して、各技術をそれぞれの事業別製品に落とし込んでいく。
国内のイントラロジスティクス事業について下代社長は「物流や工場などの現場では、自動化のステージをもう一段上げていかざるを得ないフェーズに入っている。具体的にはこれまでの人作業をロボットなどのマテハン機器に代替していくことだ。このようなニーズに応えていくためのLabとなる。様々な開発が進むこととなるが、マテハンメーカーならではのヒューマノイドの実用化にも挑戦していきたい」と展望した。
購読残数: / 本
恐れ入りますが、ログインをした後に再度印刷をしてください。