カーゴニュース 2025年9月25日 第5373号
中野洋昌国土交通大臣(写真)は16日の閣議後に開かれた記者会見で、「置き配」の利用拡大に向けた国土交通省の取り組みについて「国交省が配達員に自由にオートロックを解錠させる仕組みを導入するというのは事実無根だ」と強く否定した。
国交省がオートロック付きマンションの配達を効率化する支援に乗り出すとの報道に対し、SNSなどで「国土交通省が犯罪を助長するような仕組みを作ろうとしている」といった意見が投稿され、防犯上のリスクを指摘する声があがっていた。
これについて中野大臣は「国交省が配達員に自由にオートロックを開錠させる仕組みを導入するかのような投稿がSNS上で見られるが、全くの事実無根だ。国交省がそのようなシステムを開発したり、導入を支援するものでは断じてない」と強く否定。「あくまで既にオートロックでも置き配ができる民間サービスを利用されている方が多数いることから、この仕組みに関して、セキュリティを確保・向上しつつ、異なる宅配企業間での連携促進を検討しているものだ。もとより防犯やセキュリティは大前提であり、国民の声を聞きながら、配送の効率化を丁寧に検討していきたい」と〝誤解〟を正す考えを示した。
「マンション管理組合の合意なしに導入されない」
付け加えて「置き配に際して配達員がマンションのオートロックを開錠するための仕組みは既に複数の企業により開発されている。少なくとも2万棟を超えるマンションで導入実績があると承知している。この仕組みは、配送人の身元確認や開錠時の記録を残したうえで、あらかじめ受取人が登録した荷物の配達に限って一時的な開錠を可能とし、マンション入館時のセキュリティ管理の厳格化を図るものだ。この仕組みはマンション管理組合などの合意がなければ導入されることはない」と強調した。
さらに、国交省が2026年度予算の概算要求で、オートロック付きマンションでの「置き配」普及を図る事業者を支援する施策を掲げたことについて「現在も宅配事業者による配送に使用されている異なる宅配企業間での伝票番号の付け方や配送データの共通化などを支援するものであり、一層のセキュリティ確保と利用者利便の向上を目指すこととしている」と説明。「置き配に関する防犯上の懸念などに対する国民の様々な声を聞きながら、ラストマイル配送の効率化などに向け、引き続き丁寧に検討を進めていく」と話した。
国土交通省は今年6月26日に「ラストマイル配送の効率化等に向けた検討会」を設置し、宅配の再配達率削減に向けた取り組みを検討中。会議は非公開で行われているが「置き配」を含めた多様な受け取り方を拡大し、配送ロボットやドローンを活用した宅配を促進する方向で議論が進んでいる。
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