カーゴニュース 2025年11月20日 第5389号
日本GLP(本社・東京都中央区、帖佐義之社長)は13日、兵庫県尼崎市で開発を進めていた先進的物流施設「GLP ALFALINK尼崎」が竣工したと発表した。大型倉庫2棟と共用棟1棟で構成され、総延床面積約37万㎡で関西最大級の規模となり、総投資額は約1400億円。大手リピートカスタマーに加え、佐川急便、日本アクセス、関通、ジョブポートなどが入居し、満床稼働となった。
2棟の倉庫と国内初の自治体運営スペースを整備
同施設は「South」「North」の倉庫棟2棟と共用棟1棟で構成。大阪駅まで直線距離で9㎞に位置し、国道43号を利用することで大阪都心部まで約30分、阪神高速3号線「尼崎西IC」まで約300mと関西全域への広域配送拠点として優れている。周辺には日用雑貨メーカーや食品系流通企業などの企業が集積しており、先進的物流施設のニーズが高い立地となる。また、阪神電鉄本線「尼崎センタープール前駅」から徒歩7分に位置し、バス停留所に近く、周囲に民家が集積していることから、雇用確保にも強みを持つ。
倉庫棟のうち「South」は延床面積約24万2420㎡で6階建てのマルチテナント型。ダブルランプウェイでの上下階移動を可能とし、3階は平面使い、4~5階は垂直搬送機と荷物用エレベータが設置されたメゾネット使い、6階は両面バース利用を可能とする設計を採用した。大手リピートカスタマーと佐川、日本アクセス、関通、ジョブポートの計5社が入居する。佐川は1~2階に入居し、同社として関西最大級となる大型中継センターを稼働して効率的なオペレーション体制の構築を目指す。
「North」は約11万2300㎡で4階建てのボックス型で、大手リピートカスタマーの専用施設として稼働。1階には入出荷をスムーズに行える両面バースを備え、天井高を標準より高くすることで、自動化・省人化に向けた機器の導入に対応する設計となっている。また、全館空調を採用することで快適な労働環境を整備した。
加えて、敷地内には共用棟である「ARCO BRIDGE(アルコブリッジ)」を整備しており、レストランやコンビニエンスストア、会議室などを地域住民に開放する。また、共用棟1階には尼崎市が地域活性化や子育て支援を推進するためのスペース「ARCO GARDEN(アルコガーデン)」を整備。物流施設内に自治体が運営するスペースが整備されるのは国内初となる。さらに、健康増進のための遊具、フットサルなどのスポーツができるマルチコート、起伏のあるグリーンエリアなどを整備し、地域の憩いの場や活動拠点となることを目指す。加えて、周囲には広場を設け、災害発生時には避難場所としても機能する。
このほか、共用棟にはSGホールディングスグループのSGフィルダーとフルキャストの人材紹介会社2社が入居し、テナント企業の人材確保をサポートする。
佐川は関西の中継センターを集約、輸送効率化へ
13日に行われた竣工記者会見に出席した帖佐社長は「『ALFALINK』シリーズの開発は相模原、流山、茨木に続き今回で4件目となる。同シリーズは物流施設の抱える課題を解決するということを具現化した施設だ。物流業界はコストカットでデフレスパイラルに陥りやすく、雇用促進も進みにくい。さらに物流施設自体が機密保持のため閉鎖的でありトラックの往来も多いことから、行政や地域住民から嫌悪される要因となっていた。これらの課題に対し、快適な労働環境を整備したり、地域住民にスペースを開放するなどの取り組みを進めてきた」と説明。そのうえで「『ALFALINK』の大きなコンセプトは、地域に開かれた施設であるということ。地域住民の集まる場所にすることで、日常的な利用や防災拠点としての活用を通じて、地域社会に溶け込んだ歓迎される施設」と語った。
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