カーゴニュース 2026年4月7日 第5425号
公正取引委員会は、3月31日に開催された参議院財政金融委員会での質疑応答の中で、関税や消費税の支払いを荷主が通関業者に立替えさせ、中小受託事業者の利益を不当に害する場合には、取適法(中小受託取引適正化法)上の問題となる恐れがあるとの見解を示した。また、財務省関税局は、輸入者と通関業者との間での不適正な取引に関する情報を得た場合には、公取委と共有する意向を明らかにした。
優越的な地位の濫用、是正進まず
日本共産党の小池晃参議院議員が質疑のなかで、2024年3月に行われた衆議院財務金融委員会で、同党の田村貴昭議員(当時)が立替払い問題について取り上げたことに言及。「当時の公取委は、この問題を優越的地位の乱用として、『独禁法上問題となる恐れがある』という見解を示し、当時の鈴木俊一財務大臣も『公取委の指摘に沿った形で是正される必要がある』と答弁されたが、是正されていないのではないか」と指摘した。
具体的には、東京通関業会が昨年行ったアンケートの結果、①立替払いを行っているのは 87・1%で前年の 95・6%から減少はしているものの、大半が続いていること、②立替払いを行う理由は「荷主からの要請」との回答が 90・1%にのぼっていること、③荷主への値上げ要請を7割の事業者がためらっており、値上げを求めたとしても、応じた荷主の割合は2割以下との回答が半数であったこと――を紹介した。
これについて片山さつき財務大臣は、「通関業者による、輸入者の関税立替払いは商慣習として行われており、基本的には通関業者と輸入者の間の民間契約だが、アンケートの結果、立替払いが通関業者の負担となっているとの声が圧倒的で、公取委の調査でも、独禁法の問題につながる恐れがある事例として、立替払いが取り上げられているということは十分承知している」との認識を示した。
違反情報、しかるべき調査のうえ厳正に対処
小池議員はさらに、立替払い問題が取適法の適用対象になるのかを問い、公取委の向井康二官房審議官は、「最終的には個別事案ごとの判断となる」としたうえで、あくまでも一般論として、「荷主がその取引先である物流事業者に対し、本来荷主が納めるべき関税や消費税の支払いを立替えさせ、併せてこれらの手続きにかかる手数料などを負担させることで、中小受託事業者の利益を不当に害する場合には、取適法上の問題となる恐れがある」との見解を述べた。
さらに、「公取委、中小企業庁では従来から、違反行為かかる情報収集のため、定期的に大規模な調査を実施しており、違反行為に対しては勧告を行うこととしている」と説明。「公取委として、引き続き、具体的な違反情報に接した場合にはしかるべく調査を行った上で、その違反行為に対して、厳正に対処するなど、適切な価格転や取引の適正化が図られるように取り組んでいく」と表明した。
不公正な取引につながる恐れ、輸入者に周知
財務省の寺岡光博関税局長は、「通関業者は、その高度な専門知識を用いて国際貿易や通関手続きを行う重要な機能を有していると考えており、近年、その役割の重要性が増している。一方で、料金設定や労務費等の適正な転嫁の問題も指摘されており、通関業者の役割の重要性にかんがみると、その経営環境の改善を図ることは重要な課題であると認識している」と述べた。
公取委の見解を念頭に、「財務省関税局から貿易事業者団体に対し、優越的な地位を利用した立替払いは独禁法上の不公正な取引につながる恐れがあり、輸入者が自ら関税等を納付する方法等について所属の会員企業への周知依頼を継続する。加えて、財務省が輸入者と通関業者との間での不適正な取引に関する情報を得た場合には、公取委に共有するなど、適切に対応していく」と表明した。
片山財務大臣は、「通関業者の担う役割はむしろ増えており、業務も複雑化していくにもかかわらず、収入が伸びていないということは、適正に労務費が転嫁されてないということであり、今の世の中の流れとは逆行している。通関業者が適正に業務運営を確保できるように改善が必要であり、その環境整備に一生懸命努力をしていきたい」と述べた。
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