カーゴニュース 2026年5月7日 第5432号
中東情勢の収束が見通せない中、物流への影響が顕在化している。倉庫では荷崩れ防止に欠かせない資材である「ストレッチフィルム」が不足。日本倉庫協会が実施したアンケートでも、ストレッチフィルムの入手困難や価格の高騰が報告されている。ストレッチフィルムが調達できなければ、貨物の落下など労災のリスクが高まるほか、輸送時にパレット積みができずバラ積みされることによって、ドライバーの荷降ろし時の負荷が増大することが懸念される。
発注制限、価格は中東情勢前の5割増
日倉協が3月30日から4月10日にかけて会員企業に行ったアンケート調査(498社から回答)によると、約7割で中東情勢の影響を「受けている」と回答。その内容としては、複数回答で「燃料費(軽油、重油、ガソリン)の上昇」が最多だったが、「資材費の上昇」「資材の調達困難」も多く挙げられた。
資材の中でもとくに顕著なのが、ストレッチフィルムの不足だ。貨物をパレットに積載した後、貨物に巻き付けることで荷崩れを防止するための資材で、貨物の落下による破損リスクを軽減し、作業の安全性を確保する。多くの倉庫で恒常的に用いられ、輸送時の荷崩れ防止にも使われている。
ストレッチフィルムの原料は中東産のナフサに依存している。3月下旬頃から、ストレッチフィルムの発注が制限され、調達しにくくなり、価格が高騰しているとの声が倉庫会社から出始めた。4月下旬には、中東情勢の前と比べて5割上昇しているとの報告もあり、ECサイト上でも一部で発注制限が設けられている。
日倉協では会員の声を受け、4月21日に経済産業省の「石油由来の化学品、製品等に関する情報提供フォーム」に倉庫現場でのストレッチフィルム不足に関する情報を報告。また、同日、物流倉庫振興推進議員連盟に向けた打ち合わせの中で、同事務局に対して現状および対応の必要性を説明した。
調達難が長期化することで作業に支障
1パレットあたりに必要なストレッチフィルムはおよそ40円程度。現在は60円程度までコストが上昇している。アンケートでも68%がコスト増分を価格転嫁できていなかった。従来、ストレッチフィルム費用は荷主に転嫁していないケースが多かったが、「価格上昇分の一部は荷主にも負担していただきたい」と倉庫関係者は本音をもらす。
中東情勢が長期化することも予想され、メーカーや中間流通業者が「価格の上昇を見越して出荷を渋っているのではないか」との疑念の声も聞こえてくる。ストレッチフィルムは安全かつ効率的な倉庫作業に必須の資材であり、調達難が長期化することで作業に支障が出るおそれもあるため、日倉協では、流通に目詰まりが生じることなく、倉庫作業に必要な在庫が供給されるよう、国に販売調整を依頼することも検討している。
荷主からの入庫時に従来はパレットで入庫されていたものが、ストレッチフィルムが調達できず、バラ積みで入庫される可能性もある。手積み・手降ろしとなるとドライバーの荷役・荷待ち時間が長くなることが考えられ、そうしたケースでは国土交通省が定める「荷待ち・荷役時間の2時間ルール」の適用対象外としてほしいとの要望もある。
なお、倉庫関係者からは、「これを機に、ストレッチフィルムの使用量、使用方法を見直すべきではないか」との意見も見られる。貨物と作業員の安全担保を前提に、より薄型のタイプに切り替えることや巻く量を減らすこと、貨物によっては繰り返し使用できるゴムバンドなど代替品を活用することも考えられるという。
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