ASN導入後のイメージ

カーゴニュース 2024年7月23日 第5261号

経産省/製・配・販連携協議会
SCイノベーション大賞に日用品物流標準化WG

ASN活用で納品伝票レス・検品レス

2024/07/23 15:43
荷主・物流子会社 行政 効率化・改善

 経済産業省と製・配・販連携協議会は12日、「サプライチェーンイノベーション大賞2024」の選定結果を発表した。ユニ・チャーム、ユニリーバ・ジャパン、ライオンなどメーカー13社、物流事業者12社が参加する日用品物流標準化ワーキンググループの「業界物流情報基盤(ロジスティクスEDI)を活用した日用品業界の物流改革~メーカー・卸店間物流における改革の取組み~」が大賞に選ばれた。同WGはメーカー同士が共同物流を実施するなど、物流の最適化・効率化に取り組んでおり、近年は、事前出荷情報(ASN)の活用により、検品レス・伝票レスによる大幅な時間短縮に成功。一連の物流改革の取り組みが評価された。

 

 同WGでは、これまでアナログ(伝票等)でやり取りされていたメーカー・卸店間の物流情報をデジタル化し、納品伝票をASNに、受領書を入荷検収データに切り替えて運用。併せて、各メーカー、各卸店がそれぞれ個々の方法でデータ交換するのではなく、業界として標準の物流情報基盤を整備し、それを介してデータ交換を行うロジスティクスEDIを構築した。


 先行企業による実証実験の結果、出庫側(メーカー)の企業では、伝票発行に関わる作業時間を1日あたり約3割削減し、プリンターや伝票保管スペース・費用の削減効果も期待できることがわかった。また、入庫側(卸)では、荷受け作業時間短縮によるバース稼働率がアップし、トラックの待機時間削減につながった。入荷検品時の賞味期限管理品の日付入力作業も削減できた。

 

 業界を挙げた物流デジタル化にも取り組んでいる。ASNを活用した業務効率化の実効を上げるためには、メーカー・卸売業に物流事業者を加えた三者間で物流サービス基準を明確にし、荷受け時の「検品レス」運用を含めた業務の標準化を進める必要があるとし、全国化粧品日用品卸連合会の意見も聴取し、「納品伝票レス・検品レス」運用の業務・取引の指針となるガイドラインを策定した。


 今後の取り組みでは、日用品サプライチェーン協議会(日用品メーカーが正会員)を設立し、各社経営トップがコミットする活動であることを内外に示すとともに、日用品業界の重要な課題対応を担う団体として認知度の向上を図る。また、日用品メーカーの窓口を一本化し、流通事業者、物流事業者、関連団体・行政等との一層の連携強化を図る方針。

 

 優秀賞に選ばれたのは3テーマで、キッコーマン、総武物流による「トラックドライバーの労働時間短縮に向けた取り組み」では、分散倉庫滞留時間短縮や「LT2」(中一日配送)の実現、分散倉庫の集約を実施。


 日清食品とJA全農は「『2024年問題』の解決に向けた取組~調達物流×製品物流によるラウンド輸送~」として、発着荷主が垂直連携に挑戦し、物流資材回収×製品輸送の組み合せもビルドインし、空車回送を極限まで削減した。


 また、日本アクセスは、「お得意先様、メーカー様、物流パートナー様と連携した物流2024年問題への取組」として、動態管理端末活用による配送実態の見える化と改善、「一貫パレチゼーション」による納品業務効率化などに取り組んだ。


 「サプライチェーンイノベーション大賞」は、製・配・販連携協議会がサプライチェーン全体の最適化に向け、メーカー(製)・卸売業(配)・小売業(販)各層の協力のもとで優れた取り組みを行い、業界を牽引した事業者に対しその功績を表彰するもの。

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