カーゴニュース 2025年6月26日 第5350号
国内需要は堅調、今期は中計を加速させる
前期(2025年3月期)の国内事業は、売上高と営業利益が共に伸長しました。フォークリフト事業の受注・販売は、比較的に安定した市場の中で堅調に推移したと見ています。加えて、近年進めてきた価格適正化も寄与し、安定的な収益につながりました。また、注力している物流ソリューション事業では、複数のプロジェクトが順調に進行しています。ただ、新たな引き合いの数では、目標に届いていませんので、様々な施策を打ち、件数の増加に結びつけていくことが今期の課題となります。
海外事業も含めた当社の前期業績は、北米におけるエンジン認証の遅れと販売代理店の在庫調整の長期化が影響し、残念ながら減収減益となりました。今期については、国内事業は引き続き堅調を維持、海外事業はエンジン認証の遅れと在庫調整は収束するものの、米国の関税政策が不透明なこともあり、当社全体の売上高は微増を見込んでいます。
また、今期は中期経営計画の「Logisnext Transform 2026」の2年目に当たります。「産業車両領域での成長」「物流ソリューション事業の飛躍」「企業体質改善の継続と事業構造改革への挑戦」を柱に、それぞれの活動を加速させていく年と言えます。
顧客協働の「LogiS(ロジエス)活動」が生み出す好サイクル
「産業車両領域での成長」では、「安心・安全」の顧客ニーズに対して、顧客協働の共創支援活動である「LogiS活動」を重視しており、これが好サイクルを生み出しています。
同活動はアジャイル開発の手法を取り、当社の技術部門と営業部門のチームが、顧客が抱える「安心・安全に関する困り事」をヒアリングして開発を行い、お客様にはデモや実証実験にご協力いただき、フィードバックを重ねながら、お客様の安心・安全な現場づくりに寄与する製品やソリューションを生み出していきます。
同活動からは、一昨年発売された人検知警報に優れたレグラス社製オムニアイと、当社の車両制御を組み合わせたOmniEye®+回生ブレーキ制御システムが生まれました。レグラス社製オムニアイにより、AIカメラ映像で人を検知すると警告ランプの点滅とブザーが鳴り、回生ブレーキが作動し減速するため、事故を未然に防ぎます。同システムの優れた安全性能により、現場のお客様からの好評をいただいています。
発売当初は、バッテリー式フォークリフトの「ALESIS(アレシス)」や「PLATTER(プラッター)」用としてスタートしましたが、現在では、エンジン式フォークリフト「ERSIS(エルシス)」の速度減速仕様への水平展開も完了し主要な小型車両への搭載が可能となっています。
「LogiS活動」発のソリューションが近日中に発売
この「LogiS活動」発の新たなソリューションを、近日中に発売します。「グッドアラート」とネーミングされたシステムで、フォークリフトの正しい操作手順をリアルタイムに音声でアラートし、安全運転を支援します。新人オペレーターには心強いガイドとなるでしょう。また、ベテランオペレーターに対しても、慣れからくる疎かな操作を、音声でアラートします。
例えば〝ステアリングが切られている〟ことを忘れて発進すると、車両は急旋回をして、事故につながる恐れがあります。こういった場合、同システムは、車両と周囲の状況を認識して、リアルタイムで次に行うべき〝タイヤを戻す操作〟を音声でアラートして、オペレーターを支援します。協働開発したお客様の現場では「グッドアラート」による安全効果を確認しており、当社としても自信を持っての発売となります。
現在、「LogiS活動」では、複数の活動が進行中です。同活動発のソリューションや製品の発売が今後も続いていくでしょう。当社にとっては、顧客目線に立った付加価値の高い製品群となり、大きな強みとなっています。
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