東京商工リサーチはこのほど、２０２４年度「賃上げに関するアンケート」調査の結果を公表した。24年度の賃上げ（実施を含む）は、84・２％の企業が実施。定期集計を開始した16年度以降、最大だった23年度の84・８％には届かなかったが、２年連続でコロナ禍前の水準を超えた。物価高やコロナ禍からの企業業績の回復を背景に、高い賃上げ率で推移している。産業別では、円安や半導体需要の増加などで好調が続く製造業で賃上げ実施率が高かったほか、「２０２４年問題」で人手不足などが深刻な運輸業や建設業でも高い実施率を示した。

　規模別の実施率は、大企業が94・０％と前年度から４・１pt上昇した一方、中小企業は82・９％と前年度を１・３pt下回り、規模格差は過去最大の11・１ptに拡大。大企業は賃上げを継続したが、中小企業は重い人件費負担から「賃上げ疲れ」もうかがえる。

　産業別で賃上げ実施率が最も高かったのは、製造業の89・６％だった。以下、運輸業が88・９％、建設業が88・６％、卸売業が87・７％、農・林・漁・鉱業が85・９％、金融・保険業が82・６％、小売業が80・４％と続く。10産業中７産業で賃上げ実施率が８割を超えた。前年度との比較で最も実施率が上昇したのは運輸業で、前年度（82 ・３％）を６・６pt上回った。