カーゴニュース 2025年9月9日 第5369号
国土交通省は「標準倉庫寄託約款」と「標準冷蔵倉庫寄託約款」を10月に改正し、所要の手続きを経て、来年4月1日に施行する。
標準倉庫寄託約款は1959年、標準冷蔵倉庫約款は60年に制定され、81年に軽微な改正を行ったものの、ほぼ制定時の内容で継続されてきた。制定から60年以上が経過し、一部に実態に即していない規定が存在し、デジタル技術による通信環境の変化などに対応できていないことなどが、寄託者と事業者のトラブルが生じる原因になっていた。国交省はこれを踏まえ、標準倉庫寄託約款と標準冷蔵倉庫寄託約款の双方の改正を決めた。改正に先立ち、現在、12日まで意見公募(パブリックコメント)を行っている。
今回の改正により、意思表示の手段として文書以外にもFAXや電子メールなどを用いることを明記するとともに、システム障害時に荷物の引き受けなど一部の業務を拒否できる規定や、在庫証明書についての規定、賠償額の限度に関する規定の追加などを行う。
また、20年施行の民法改正で寄託契約が要物契約から諾成契約に変更されたが、標準約款では倉庫業界の実態を踏まえ、寄託申込を承諾した時点で契約効力が発生する諾成契約ではなく、寄託物の引き渡しにより契約が成立する要物契約とすることを明確化する。なお、標準倉庫寄託約款に関しては、諾成契約の取引形態である面積建保管についての別途規定を設け、特約できることとする。
今年4月から施行された物流改正法への対応も規定し、保管・入庫・出庫など通常の倉庫業務に附帯する業務(搬出入車両での手荷役、仕分け、検品、ラベル貼りなど)を明確化し、別途定める料金や費用を請求できる規定を設ける。加えて、荷役・荷待ち時間の増大につながる緊急の入出庫オーダーには、別途料金を請求できるようにする。そのほか、受寄物(貨物)の内容不検査、損害受寄物に関する権利の取得、倉庫保管料や荷役料などの料金について寄託者などの期限の利益の喪失が生じる具体的な事例など、既存の標準約款であいまい、不十分だった規定の拡充・明確化を行う。
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