シャトルラックシステム

カーゴニュース 2024年9月3日 第5271号

日建リース工業
シャトル型ラックシステム取り扱い開始

「非動力系」から「物流システム機器」に舵を切る

2024/09/03 14:01
マテハン DX・システム・新技術 2024年問題

 物流機器のレンタルなどを展開する日建リース工業(本社・東京都千代田区、関山正勝社長)は9月から、物流自動化システムの取り扱いを開始する。中国のプロログ社が開発した4方向シャトル型ラックシステムを主軸とした物流システムを、「NWE(エヌウィー)」の名称で日本国内に展開する。

 

 NWE は「Next-Gen Warehouse Efficiency( ネクスト‐ジェン ウェアハウス エフィシエンシー)」の頭文字からとったもので「次世代倉庫効率」を意味する。新設の施設はもとより既存施設にも比較的容易に導入でき、限られた空間を有効利用した自由度の高いラック設計が可能だ。


 ラックシステム内で荷物を搬送するシャトルは、パレット搬送の「パレットシャトル」と、ケース搬送の「ケースシャトル」を用意。両シャトルとも前後左右の4方向を行き来できるタイプを揃え、オーダーが増えてもスムーズな搬送が可能なほか、渋滞が予測される場合は自動的に経路を再計算し作業ロスを防止する。また、空になったパレットを自動収集する機能も有する。シャトルはマイナス25℃の環境下でも充電できるため、充電のために冷凍庫外に移動する必要がなくなることにより結露による商品ダメージやシャトル本体の故障リスクを軽減する。


 ラックシステム内の動力機器はすべて「イクイップメントインテグレーションシステム(EIS)」で集中制御される。既存のAGFやAGV、AMRをEISとAPI連携し制御することも可能だ。日建リース工業では、NWEの展開に合わせ、Damon社(中国)製のフォークリフト型自律ロボットの提供を開始する。車輪が90度回転して平行移動できるAGFで、トラックへの積み降ろしの自動化を実現する。また、既存のWMSやWES、WCSとEISとの連携も可能なため、さまざまな業務を統合しリソースの最大化が図れるほか、デジタルツインによる管理システムを構築して複数拠点の倉庫を集中管理することもできる。

4方向パレットシャトル
フォークリフト型 自律ロボット

将来を見据え取り扱いアイテムの転換図る


 これまで日建リース工業では、パレットやカゴ台車など「非動力系」の物流機器を中心に扱ってきたが、今後は動力機器やシステム系も含めた「物流システム機器」の取り扱いに舵を切っていくという。物流事業本部副本部長の小林巧氏は「労働人口が減少していく中、労働力の確保はますます難しくなる。環境は変わり始めており、将来的には取り扱いアイテムを人手に頼らない動力機器や物流システムに転換していく必要がある」と話す。物流事業本部営業企画部部長の菅野毅氏は「人手不足は労働環境が厳しい現場ほど深刻さを増す。とくに冷凍製品を扱う現場では自動化ニーズが高まっていくと予想しており、庫内でシャトルの充電が可能なNWEは期待に応えられるソリューションだ」と強調する。まずは製造業や小売業を中心に「販売」による展開を行っていく。


 将来的には「レンタル」の仕組みも構築していくという。小林氏は「当社は多くの営業倉庫事業者に取引いただいているが、取扱品目や量が変化する営業倉庫ではレンタルの需要は高い。いずれはレンタルの仕組みを整え、パレットなど既存のレンタルサービスも組み合わせたサービス展開も視野に、NWEの導入を図っていきたい」と展望する。


 同社では、10日から東京ビッグサイトで開催される「国際物流総合展」でNWEの実機展示を行い、その後は同社も参画する、野村不動産が運営する「Techrum(テクラム)」の専用施設「習志野Techrum Hub(テクラムハブ)」に展示する予定だ。

NWEのロゴ
続きを読む

購読残数: / 本

この記事は登録会員限定です
この記事は有料購読者限定記事です。
別途お申し込みをお勧めします。